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「働き方改革」では世界に取り残される? 日本の働き方は「時代遅れ」

2018年5月3日(木)13時41分
岡本 祥治(みらいワークス社長)※東洋経済オンラインより転載

過去20年を振り返ってみてほしい。日本では、大企業が倒産したり、名門企業が外資系企業へ身売りをしたり、大規模リストラを行ったりと、働き方の価値観が変わるようなことが数多く起きている。同時にライフスタイルも多様化しており、働き方に対する考え方も人それぞれになってきている。

そうであれば、働き方も一人ひとりの価値観やライフスタイル、あるいはライフステージに合わせて選択できる社会を目指すことが望ましいのではないか。それを実現するには、まず企業が残業時間を抑制しながら生産性を高める策を考えたうえで、社員が自らどの程度働きたいかを決められるようにすればいい。「今の自分にはハードワークが必要だ」と感じている人は長く、残業を抑えたいという人は短く働けるといった選択をできるようになるのが望ましい。

働き方改革に最も必要な要素とは

企業や組織に属さなくても、個々が実力を発揮できる基盤作りも必要だろう。日本ではいまだ「正社員信仰」が根強いが、本来働き方を見直すのであれば、企業に属していても、そうでなくても、それぞれが自らの能力を最大限生かし、社会に貢献できるような環境を作るべきではないか。

そして、企業や社会がこうした働き方改革をするうえで最も重要なのは、それぞれの異なる働き方を「認める」ことである。同じ日本人であれば、価値観も同じだろうとつい思い込みがちであるが、実際はさまざまな違いがあるものだ。

今まで働いてきた環境やプライベートな状況、これからやりたいことなどによって、働き方に対する考え方はそれぞれ違う。こうした違いを認め合うことは、実は日本人が最も苦手とすることであるが、最も重要なポイントなのである。

働き方の多様性を受け入れるためには、「ここが違う。普通はこうだ。おかしい」と自分の価値観を基準に外部を見るのではなく、「この違いはどのような価値観の違いから生じているのか?」と、"違いがある前提"で他人と向き合うことが重要だ。日本の働き方が次のステージに進むには、1人でも多くの人が、多様性を受け入れる感覚を持つことが欠かせない。

働き方改革が進むことで、日本人の多様性に対する寛容性が増し、「働き方のグローバル化」も進むことを期待したい。

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