「働き方改革」では世界に取り残される? 日本の働き方は「時代遅れ」
聞けば、彼らの会社は日本を含むグローバル展開をしているといい、目下同僚の1人が、現在日本に「出稼ぎ」に行っているという。なぜなら、日本の人材紹介エージェント料はシンガポールの2〜3倍と高く、企業による人材エージェントの利用率も高いから。つまり、人材エージェントとしてのインセンティブも高いため、数年間だけ日本で働いて稼ごう、と考えているというわけだ。自分の能力やニーズに合わせて、働く国を選んでいるのである。
私自身、ヘッドハンティング会社から突然電話をもらったことが何度かあるが、その際に英語しか話せない外国人からの電話を受けたこともあった。日本で働くのにあたって日本語は必須、特に営業職においては余計にそうだと思っていたが、彼らにしてみれば世界標準の英語さえ使えれば、世界で働けると考えているのだろう。
海外で働きたくても働けない人もいる
一方、世界には働きたくても働けない人もいる。パレスチナ自治区を旅した際、現地で出会ったパレスチナ人は、「自分は幸運にも仕事に就けているが、多くのパレスチナ人は仕事の機会に恵まれない。イスラエルでも仕事にありつけず、また海外で働こうとしてもパスポートも持っていないので外に出ることができない」と話していた。パレスチナとイスラエルの政治的対立が続く中、パレスチナ人がイスラエルで仕事を得ることは大変困難で、どうにかして海外に出て働く方法を模索する人は少なくないそうだ。
ひるがえって日本はどうだろうか。近年、若者の「海外離れ」が取りざたされているが、実際海外勤務を嫌がる人が増えている。産業能率大学が2017年に行った調査によると、新卒採用された新入社員のうち海外で働きたくないという人の比率は、2004年に28.7%だったが、2015年には63.7%に上昇。2017年には60.4%と下がったもの、まだ高い水準となっており、ビジネスがグローバル化し続けている状況とは逆行している。
その理由として、「自分の語学力に自信がない」(63.6%)、「生活面で不安」(47.0%)、「海外に魅力を感じない」(26.1%)ことが挙げられている。
一方、同調査における日本企業はグローバル化すべきか、という質問に対しては、79.5%が「進めるべき」と回答し、過去最高となっている。これは、グローバル化は避けて通れないことだと認識しながらも、自分は巻き込まれたくない、というスタンスの若者が多いことを表している。
こうした中でも、海外で働くことを選ぶ若者はもちろんいる。たとえば、ブラジルのアマゾンを旅行しているとき、たまたま一緒になった現地の日本法人で勤めている若者は、自ら手を挙げて赴任してきたとのこと。メーカーに勤めている彼は、現地工場で生産管理や技術移転などを担当しているという。海外で働くことを希望する人が減っているのは残念だが、少なくとも海外勤務を希望する人にはその機会を提供する社会でありたいものだ。