「黒田バズーカ」は三度効く? ドル115円なら思惑台頭
中国の景気減速や中東の原油安で世界経済の退潮が叫ばれる中、黒田バズーカに疑問の声
1月21日、外為市場では、ドル/円が115円を割り込む円高進行となれば、日銀に追加緩和期待が高まるとの見方が多い。しかし、その効果では、第1弾や第2弾のような持続力は乏しいとの指摘も出ている。写真は黒田日銀総裁、日銀で2015年5月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
外為市場では、ドル/円が115円を割り込むような円高進行となれば、日銀に対する追加緩和期待が高まるとの見方が多い。しかし、その効果については、量的・質的金融緩和(QQE)の第1弾や第2弾のような持続力は乏しいとの指摘も出ている。
現在のリスクオフの「震源地」が海外であるほか、日銀の政策に対する打ち止め感も出やすいためだ。黒田日銀は難しいかじ取りを迫られることになりそうだ。
ドル115円割ると「真空地帯」に
年初からリスクオフの波が押し寄せ、円高・株安が止まらない。年明けのドル/円はするすると116円半ばまで下落。118円台に反発する場面もあったが、20日には一時116円を割り込み、1年ぶりに115円台へ突入した。
12月の日銀短観によると、2015年度の企業のドル/円想定為替レートは、大企業・製造業で年間119.40円、下期は118.00円となっている。現在の水準は下期水準を割り込んでいるが、1─2円程度の円高であり、企業業績に与える影響も限定的だ。「現時点で日銀追加緩和の必要性が高まっているわけではない」(外資系投信ストラテジスト)という。
しかし、昨年末に120円半ばだったドル/円は、わずか2週間で4円以上水準を切り下げた。来週末の日銀金融政策決定会合に向けて再び115円方向に下押し圧力が加わることになれば、「政府・日銀も1カ月で5円近く円高が進むことをスピードとして許容できないところがある」(邦銀)として政策期待が高まりやすい。
チャート上では、昨年1月16日に付けた年間安値115.85円、14年12月16日の115.56円が下値めどとして意識されている。それらをすべて下抜け、心理的節目の115円も割り込んだ場合は、しばらく節目が見当たらない。みずほ証券のチーフFXストラテジスト、鈴木健吾氏は「115円を割れたらストンと110円を目指す展開もあり得る」と話す。
吹き荒れる「逆風」
問題は、実際に追加緩和を実施した場合、これまでのように円安を促す効果があるのか、市場でも疑問視する声が出ていることだ。