最新記事

中国経済

中国成長率減速へ、GDP伸び率が15年6.8%から16年6.5%、17年は6.2%に後退

OECDが経済見通しで「景気減速が今後さらなる資本流出を招いて為替相場を圧迫」と予想

2015年11月10日(火)11時30分

11月9日、経済協力開発機構(OECD)は、中国の国内総生産(GDP)伸び率について、2015年に見込まれる6.8%から16年に6.5%、17年に6.2%に減速するとの見通しを示した。写真は中国の国旗、10月撮影(2015年 ロイター/Jason Lee)

 経済協力開発機構(OECD)は9日、中国の国内総生産(GDP)伸び率について、2015年に見込まれる6.8%から16年に6.5%、17年に6.2%に減速するとの見通しを示した。

 経済見通しの中でOECDは、中国の財政刺激策について、必要とされる民間投資を締め出す恐れがあり、長期的には持続不可能だと指摘。

 「追加財政刺激策は短期的な成長を促進するものの、結果として不均衡を拡大させ、民間投資を締め出すことになる」との認識を示した。

 また、工場渡し価格が下落するなか、実質借り入れコストが上昇しており、この状況が企業の利益を圧迫し、債務負担を増加させていると指摘した。

 第3・四半期の中国GDP伸び率は前年同期比6.9%と、投資の伸び鈍化を一因に世界的な金融危機以降最も低い水準を記録。中国人民銀行(中央銀行)は過去1年近くで6度目の利下げを余儀なくされた。

 中国政府は経済を支援するため、インフラ投資促進に向け財政支出も拡大させている。

 習近平国家主席は、2010年から20年までにGDPと1人当たりの所得を倍にする目標を達成するためには今後5年間の成長率を平均で6.5%を下回らない水準に維持する必要があるとしている。

 中国政府の15年のGDP伸び率目標は7%前後で、これは25年ぶりの低成長となる。

 OECDは9月、中国GDP伸び率について15年は6.7%、16年は6.5%と予想していた。

 OECDは、企業や個人の外国為替購入に関する監視強化や為替取引における不正行為の取り締まりなど最近の政府の措置が、資本流出の抑制につながっている可能性があると指摘。

 その上で「金利差の縮小や景気減速が今後さらなる資本流出を招いて為替相場を圧迫する可能性もある」との見方を示した。

 

[香港 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中