VW排ガス不正操作、数年前に技術者らの警告で違法性を認識か
問題のソフトを供給したボッシュが2007年に、2011年には社内技術者も告発の声を上げていた──
9月27日、独VWの排ガス規制逃れ問題で、VW社員とサプライヤー1社が4年以上前に、排ガス規制を逃れるために使用されたソフトウエアの違法性を指摘していたことが分かった。写真はロゴ、ウォルフスブルクで22日撮影(2015年 ロイター/Axel Schmidt)
[ベルリン/ローマ 27日 ロイター] - 独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)の排ガス規制逃れ問題で、VW社員とサプライヤー1社が4年以上前に、排ガス規制を逃れるために使用されたソフトウエアの違法性を指摘していたことが分かった。
ドイツの新聞2紙が27日伝えた。
フランクフルター・アルゲマイネ紙は、VW監査役会に近い筋の話として、25日の監査役会に提出された社内報告書に、社内の技術者が2011年に不正な排ガス規制逃れについて警告していたことを示す記述があったと報道。警告時点で問題への対処がなされかった理由は明らかになっていない。
一方ビルト紙は、部品サプライヤーのボッシュROBG.ULがVWに供給した問題のソフトについて、規制逃れに使うことは違法だと2007年に書面で警告していたことがVWの内部調査で分かったと伝えた。同紙は情報源を明らかにしていない。
ボッシュの広報担当者はVWとの取引内容は機密事項だとした。
VWは2紙の報道の詳細に関するコメントを拒否。広報担当者は「本格的な調査を行っている。(顧客とディーラーに対する)技術的な対応策にも取り組んでいる」とし、「信頼できる事実が分かり次第、回答できる」と述べた。
VWの内部調査は、どのレベルの幹部までこの問題に関与していたのか、いつから問題を認識していたのかを中心に行われるとみられる。
ビルト紙はまた、情報源は明らかにしていないものの、引責辞任したウィンターコルン最高経営責任者(CEO)が来年末の任期までの給料を要求したが、取締役会から拒否されたと報じている。同氏の昨年の年収は1600万ユーロ(約21億5000万円)で、ドイツDAX指数に組み入れられた30銘柄のCEO報酬の中で最高額だった。
一方、VWのミュラー新CEOは社員あての書簡で、不正問題の調査とコンプライアンスおよびガバナンス基準の向上に厳しい姿勢で取り組むと約束した。
迫られる対応策
試験走行時に排ガス規制に適合するようにモードを切り替えるソフトウエアは、VW社製ディーゼル車の約1100万台に搭載されており、同社はいまだ対応策を検討している。