AIIB構想、実現へのスプリングボードとなった中東オイルマネー
世界の主要各国が参加する投資銀行プロジェクト実現の背景
9月18日、中国が主導する新たな国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、今でこそ中国の国際政治における成功事例とみられているが、2年前には計画がほとんど棚上げされるところだった。写真は初代のAIIB総裁に就任する金立群氏。6月撮影(2015年 ロイター / POOL/WANG ZHAO)
[北京 18日 ロイター] - 中国が主導する新たな国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、今でこそ中国の国際政治における成功事例とみられているが、2年前には計画がほとんど棚上げされるところだった。
事情に詳しい2人の関係筋によると、2013年前半に初めてAIIBが構想された際には、十分な資金が集まらないのではないか、他国の支援が得られないのではないか、といった懸念が中国高官の間であったという。
しかし、中東の一部の国が資金の拠出を約束し、米国の反対にもかかわらず欧州の主要国が支援を表明したことがターニングポイントとなった。中国の元副首相や、政府系ファンドである中国投資有限責任公司(CIC)のトップを務め、初代のAIIB総裁に就任する金立群氏を含む熱心な支援者の後押しもあった。
関係筋の1人は「当初、中国はあまり自信を持っていなかった。資金がないことが悩みだった」と打ち明ける。
AIIBへの関心を探るために財政省が派遣した東南アジア各国訪問団も手応えをつかめなかったという。各国政府は構想は支持したものの、資金不足のために大きな貢献は期待できない状態だった。
救世主となったのが中東だ。産油国で外貨を豊富に持ち、インフラを必要とする各国は資金の拠出を約束。同筋は「その時、『ああ、これで成し遂げられる』と思った」と語った。