マクドナルドからレジ店員が消える?
消費者がタッチパネルを操作して好みの食材を選べる無人注文システムは人件費削減の切り札か
根強い支持 今も対面での接客を好む消費者は少なくないが Justin Sullivan/Getty Images
チキンマックナゲットに消費期限切れの肉や床に落ちた肉が使われていた実態が暴かれてから3カ月余り。米マクドナルドは世界中の市場で深刻な客離れに悩まされ続けている。14年10月下旬に発表された第3四半期(7〜9月期)の純利益も、前年同期比の30%減だった。
「世界中でおなじみの巨大消費者ブランドでさえ、好き勝手に利益を貪れるわけではない」と、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は論じた。「低価格路線のマクドナルドに対して、従業員の最低賃金の引き上げを命じるよう政府に圧力をかけていたリベラル系団体にとっては初耳かもしれないが」
賃金を低く抑えている現在のマクドナルドの業績が悪いとすれば、最低賃金を従業員がデモで要求している15ドルに引き上げたらどうなるかは明白だろう。
ただしマクドナルドは、奥の手を用意しているようだ。レジでの接客を機械化して人件費を削るという策だ。
同社は客がタッチパネルを自分で操作し、バンズや具の組み合わせを自由に選べる無人オーダーメイド注文システムを15年以降、導入するとしている。「自分だけのハンバーガー」を楽しむ機会を提供することで、代わり映えしないメニューにうんざりしていた人々を呼び戻すことが狙いだ。
既に試験導入が始まっているカリフォルニア州の4店舗では、「客は地元の食材を取り入れたカスタマイズを望んでいる」と、ドン・トンプソンCEOは語る。「注文の仕方やその内容、接客の方法を自ら選択したいという思いもある」
確かにそうだろう。その一方で、タッチパネルの導入は人件費を削減する格好の口実にすぎないと指摘する声もある。
無人化の意外な効果
もっとも、そう断言するのは早そうだ。マクドナルドは数年前からヨーロッパ各地の店舗で無人注文機の設置を進めているが、当時の経営陣は従業員の人数を削減する効果は期待していないと語っていた。
実際、大半の客は無人注文機を無視してレジの前に列をつくっている。スーパーマーケットのセルフ精算を敬遠する人が多いように、飲食店でも対面での接客を好む人は少なくない。