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アメリカ経済

米雇用が回復しても格差はさらに拡大?

2014年7月7日(月)12時29分
ジョーダン・ワイスマン

 サエスはかつて、フランスの経済学者トマ・ピケティと共に「所得」の格差に関する調査も行ったが、結果は今回のものと多くの点で共通していた。

 上位0・5%層の所得が、アメリカ人の総所得の中で、上位0・5%層の所得が占める割合は78年から3倍に増加し、18%に達している。一方で、彼らほど金持ちではない0・5〜1%層のシェアは4%ほどで、増加幅も少ない。

 この所得が貯蓄や投資に回されることで「富」となる。それが何年にもわたり蓄積された結果、富の格差は所得の格差以上に大きくなる。貯蓄する額が多ければ増える資産も多いわけだ。

 金持ちの中でも、スーパーリッチの富が増えるペースが速いのもそのためだ。普通の金持ちが高い生活水準を保とうとすれば、所得の中で消費に回すカネの割合がスーパーリッチより高くなる。こうして、スーパーリッチはますます金持ちになる。

© 2014, Slate

[2014年4月22日号掲載]

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