最新記事

アメリカ経済

米雇用が回復しても格差はさらに拡大?

社会の富は上位1%ではなく0.1%の「本物の金持ち」に集中する

2014年7月7日(月)12時29分
ジョーダン・ワイスマン

       © BigStockPhoto

 アメリカでの金持ちとそれ以外との格差は、私たちが思う以上に拡大していたようだ。

 カリフォルニア大学バークレー校の経済学者エマヌエル・サエスとロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのガブリエル・ザックマンは、アメリカの「富」の格差に関する新しい調査結果を発表。その内容は衝撃的だった。

 富とは、ある世帯が所有するものの価値の総額で、持ち家や債券などから負債を引いたものだ。調査結果を見ると、アメリカで上位1%の富裕層が所有する富の割合は、1980年代に比べて少なくなっている。

 しかし、問題はそこではない。

 調査が示しているのは、かつて世界を席巻した「1%」という表現に意味はなく、真の勝ち組はわずか「0・1%」しかいないということだ。アメリカで最も裕福な0・1%の世帯は現在、最低でも2000万ドルの富を所有する。アメリカの全世帯の富のうち彼らの富が占めている割合は、60年代の10%から現在では20%に倍増した。

 考えてみてほしい。人口の1000分の1が、アメリカの富の5分の1を所有しているのだ。

 スーパーリッチ層はさらに金持ちになっているが、それより下位の富裕層はあまり変わらない。上位0・5〜1%層が所有する富の割合は60年代からほぼ横ばいだ。一方、彼ら以上にリッチな0・1〜0・5%層のシェアはやや上昇。さらに、その上をいく上位0・1%層、特に最上位0・01%のシェアは大きく上昇した。

「富」が膨れ上がるメカニズム

 11年に発生した「ウォール街を占拠せよ」デモでは、豊かな1%とそれ以外の99%の経済格差が焦点だった。だが経済専門家は当時から、金融市場がグローバル化した現代の経済で最大の勝ち組は、1%の中でもさらに一部のスーパーリッチたちだと指摘していた。アメリカの富は、人々が考えるよりもはるかに限られた人たちに握られているのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米労働市場は安定、当面金利据え置くべき=クリーブラ

ビジネス

ミランFRB理事、「要請あれば」留任意向 利下げ改

ビジネス

米財政赤字、今後10年でさらに拡大 減税・移民減少

ビジネス

アックマン氏のファンドが昨年終盤メタ株購入、ヒルト
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 7
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 8
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 9
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 10
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中