オバマのTPP交渉に立ちはだかる米議会
日本では農業団体からの反対が根強いが、それでも安倍政権は意欲を失っていないようだ。しかし昨年末の世論調査によれば、TPP支持33%に対して不支持は36%だった。マレーシア政府は、マレー系を優遇する国内法「ブミプトラ」に抵触するとして、国有企業規制の受け入れに消極的だ。昨年10月のケリー米国務長官訪問時にも反対集会が開かれた。
だが、TPPの受け入れが最も難しそうなのはアメリカだ。「自由貿易派の共和党」対「保護主義の民主党」という在来の構図は崩れ、今や乱戦状態。両党とも、自由貿易嫌いの労働組合や環境団体による反対運動の行方を慎重に見守っている。
昨年夏には下院共和党の新人議員35人が通商代表部のフロマン代表に書簡を送り、TPPとTPAへの支持を表明した。
しかし11月半ばには、労組の影響力が強い地域から選出の共和党議員たちがオバマ嫌いのティーパーティー派と組んでTPA反対を表明。これに下院民主党議員151人が同調する事態となった。一方で下院歳入委員会に属する民主党のレビン議員が独自のTPA案を準備しているのも、議会内で意見が割れていることの証しだろう。
総合すると、オバマ政権の貿易政策に最も強く反対しているのは民主党議員や伝統的支持基盤である労組だ。だからTPAを手に入れるには共和党の協力を仰ぐしかない。果たして必要な賛成票を集められるか。政権の本気度が試されるところだ。
From GlobalPost.com特約
[2014年1月28日号掲載]