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新市場ビルマにコカ・コーラ正規参入の意義
経済制裁の緩和を受けてコカ・コーラ社が60年ぶりにビルマでの事業再開を発表。しかし実は以前から多くのアメリカ製品が裏ルートで市場に流入していた
フレッシュな風? コーラのビルマ進出は民主化の証しか Jim Young-Reuters
民主化が進むビルマ(ミャンマー)で、60年ぶりに事業を再開する----先ごろ、そう発表したのがアメリカの飲料最大手コカ・コーラ。ベルリンの壁崩壊後のドイツや、アメリカと国交正常化した後のベトナムでそうだったように、ビルマでも「フレッシュな」風を吹かせてみせる----同社はプレスリリースの中でそう謳い上げた。
米政府は長年、自国企業がビルマと経済活動を行うことを禁じてきた。既に世界の隅々まで事業を展開しているコカ・コーラも、キューバ、北朝鮮、そしてビルマには進出していなかった。
しかし、ビルマ国民がコカ・コーラの味を知らずに暮らしてきたかというと、そういうわけでもなさそうだ。コカ・コーラを始めとするアメリカの商品は長年、規制の抜け道をかいくぐってビルマ市場に入り、店頭に並べられてきた。
その仕組みはいたってシンプル。ビルマのバイヤーが、周辺国で過剰生産されているライセンス製品を買い上げる。それをビルマに持ち帰り、価格を吊り上げて販売するというわけだ。アメリカの対ビルマ制裁が緩和されつつある今も、こうした裏ルートの輸入販売は続いている。
バドワイザーの値段はアメリカの倍以上
筆者は先ごろ、ビルマ最大の都市ラングーン(ヤンゴン)を訪れた際に、「メイド・イン・アメリカ」の代表的な商品を探すため小売店を訪れた。
まず最初に見つかったのがコカ・コーラ。タイで生産されたものが1缶55セントで売られていた。同社製品のスプライトもあったが、こちらはシンガポール産だった。
次に目に止まったのが、クラフトフーズ社の粉末飲料「Tang」だ。値段は400グラム入りで1.6ドル。1つ隣の通路には、P&G社のシャンプーとハインツ社のマヨネーズが置かれていた(どちらもタイ産)。
一方、ビールのバドワイザーはタイでもシンガポールでもなく、米ミズーリ州セントルイスで生産されていた。カンボジアの卸売業者を通じてアメリカから輸入されているという。
制裁をかいくぐっての輸入販売はやはり割高だ。アメリカでは1瓶(360ミリリットル)1ドル程度のバドワイザーが、2.3ドルになっていた。
経済制裁の緩和によってアメリカ製品が正規ルートで入ってくるようになれば、値段が下がるのは必須。ビルマ国民にとって、うれしいニュースであるのは間違いない。
From GlobalPost.com