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新興国財政危機でインドも通貨ルピーが急落
ルピーが史上最安値を更新した元凶は、財政赤字に何の手も打てない政府の無為無策
転落の一途? 投資家は緊縮政策を期待しているが Jayanta Dey-Reuters
ついにここまで来たか----インドルピーは16日、対ドルで一時54.27ルピーまで下落し、史上最安値を更新した。
この1年間でルピーはドルに対して20%以上も下落。さすがに暴落する心配はないとアナリストたちは言うが、プラナブ・ムカジー財務相の発言を聞いても緊縮政策にどこまで本気かわからないし、インド中央銀行も事実上何の手も打てそうにない。
「政府は財政再建の話を持ち出すだけで、具体性がまったくない。財政赤字削減のために何もしていない」とバローダ銀行のチーフエコノミスト、ルパ・リジェ・ニツレはインドのニュースサイトのファースポスト・ドットコムに語った。
AP通信によれば、今後ルピーは対ドルで55ルピーまで下落するとみるアナリストもいるという。
「中央銀行にとって、通貨を立て直すのは至難の業だ」とクレディ・スイスのエコノミスト、ロバート・プライアーワンデスフォードはファーストポストに語った。「インド政府が構造改革に取り組むのを投資家は待っている。税制の見直しでも、インフラ物品・サービス税や直接税の引き上げでもインフラ投資促進策でも、何でもいい」
いっそルピーではなく「ドルーピー(『垂れ下がった』の意味)」にでも名前を変えればいいと思うが、そうはいかないだろう。インド政府は2年前に新しいルピー記号を作ったばかりなのだ。
新マーク対決はルピーの勝ち
アルファベットのRとヒンドゥー語の「ラ」を表す文字を組み合わせたようなルピーの新記号に、政府がどれだけ金を投じたかは分からないが、少なくともAPよりはましなデザイナーを雇ったようだ。
関係ないが、実は前述のAP通信も約30年ぶりにロゴを新しくしたばかり。噂によれば、APはテレビ映りが悪いという理由でデザイン変更を決めたという。膨大な労力(と巨額の予算)を費やした末、今年2月に発表した新ロゴは、APという文字の下に赤い線を引いただけのもの。
巷では、稲妻のような形をあしらったナイキの有名なロゴのまねではないかと揶揄されている。少なくとも、デザインのセンスではインド当局の勝ちだ。
From GlobalPost.com