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スマートフォン遂にエリクソンを捨てたソニーの真価
名門エリクソンとの合弁を解消したソニーの、自力のスマートフォン開発力が試される
重荷を降ろして CES開幕前日の会見でソニー単独ブランドの新「Xperia」を発表した平井副社長(1月9日、ラスベガス) Steve Marcus-Reuters
ソニーはついに、携帯電話の最新モデルから「エリクソン」のブランドを捨て去った。これにより、スマートフォンの生みの親であるスウェーデンの通信機器大手の名前が、携帯電話市場から完全に消えたことになる。
1月10日に世界最大の家電見本市CESで発表されたXperiaSは、ソニーが2001年にエリクソンとの合弁会社ソニー・エリクソンを設立して以来初めて、ソニー・エリクソンではなくソニーのブランドで売り出す携帯電話となる。
ソニーの次期社長への就任が報じられたばかりの平井一夫は、新社名が「ソニー・モバイル・コミュニケーションズ」になると発表。昨年10月には、エリクソンがソニー・エリクソンの株式の持ち分を14億7000万ドルでソニーに売却することもわかっていた。
90年代の全盛期には、エリクソンはフィンランドのノキア、アメリカのモトローラとともに世界の3大携帯電話メーカーの一角を占めていた。97年のコンセプトモデルGS88は、世界で初めて「スマートフォン」と呼ばれた携帯電話だった。さらに2000年にはタッチスクリーンを搭載したエリクソンR380を発売。市場に出た初のスマートフォンとなった。
携帯端末開発にはほとんど貢献せず
だが、その後は後発のブラックベリーやiPhoneに押され、ソニーと合弁を組んでもなお苦戦が続いた。2010年までには、ソニー・エリクソンのシェアは世界第6位の2.2%にまで落ち込んだ。
「『昔々』はノキアより大きい会社だった」と、ストックホルムに本社を置くスウェーデン銀行でエリクソンを担当するアナリストのマーティン・ニルソンは言う。ニルソンによれば、エリクソンが合弁会社のソニー・エリクソン株を売却して、本来の携帯電話インフラ事業に集中するよう決定したことは、「実利的」な判断だったと、同社の投資家たちは評価しているという。
「今日では、インフラと携帯端末は必ずしも連動していない」と、ニルソンは言う。「携帯電話がどのように進化し、どんな機能を備えているかを見れば、ソニー・エリクソンの端末のほとんどの部分をソニーが担ってきたことは明らかだ。エリクソンはほとんど貢献できなかった」