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株式市場FRBが在米欧州銀の資金繰りを警戒
欧州銀を介して欧州債務危機がアメリカに飛び火すれば、08年金融危機が再燃しかねない
既視感 株価下落の連鎖が止まらない(ニューヨーク証券取引所) Brendan McDermid-Reuters
2008年、リーマン・ショック後の暗黒の日々を覚えているだろうか? 当時は誰もが、世界の金融システムがフリーズしてしまうのではないかと恐れたものだ。
私たちはタイムマシンに乗って、再びあの危険域に近づいているようだ。
8月18日付けのウォールストリート・ジャーナル紙によれば、ユーロ圏の債務危機の影響で「アメリカで営業している欧州系銀行の資金繰りが苦しくなり、融資などの業務が出来なくなる」可能性があることを、FRB(米連邦準備理事会)が懸念しているという。
在米の欧州系銀行を監督するニューヨーク連邦準備銀行が、問題を抱える欧州系銀行のアメリカにおける業務への監視を強めている、と同紙は報じている。
ウォールストリート・ジャーナルのこの必読記事から、主張の一部を紹介しよう。
ニューヨーク連邦準備銀行は最近、欧州系銀行とたびたび会合を開いている。彼らが資金不足に陥る可能性があるかどうか、判断するためだ。関係者によるとニューヨーク連銀は、これらの銀行がアメリカで日々操業するうえで必要な資金を確実に確保できるかどうかについて、もっと情報を提供するように求めている。アメリカにおける営業の全面見直しを銀行に強いるケースもあるという。
ニューヨーク連銀は資金繰りに苦しむ欧州系銀行の在米部門の動きを「非常に警戒している」と、連銀との協議に参加した欧州大手銀行の幹部は言う。
米規制当局は、08年の金融危機の再来を避けようとしている。当時は、信用収縮のため国際的な金融システムの血流が止まるところだった。今回はユーロ圏の債務危機の影響で欧州系銀行の在米部門の資金繰りが苦しくなり、融資などの業務が出来なくなるのではないかと懸念されている。
ただし問題発生の兆候は少しずつ出ているものの、過去の金融危機ほど重大な事態には陥っていないだ。
アメリカの経済指標も足を引っ張る
世界的な景気後退への懸念から、アメリカの株式市場は急落している。米雇用や製造業に関する指標が市場予想を下回ったことも、足を引っ張っている。
8月18日、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数は5%下がり、ダウ平均は4.4%、ナスダック(米店頭市場)総合指数は5.7%低下している。
「欧州の債務危機に加えて予想を下回る経済指標が、ただでさえ『売り』に傾きやすい市場を刺激している。要するに、今はいいニュースはないということだ」と、米投資顧問会社アランB・ランス&アソシエーツのアラン・ランス社長はニューヨーク・タイムズ紙に語った。「買い手にすれば、信じられるものが何もない状態だ。再び、売り手が相場の主導権を握り始めている」