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メディアハリー・ポッターが待望の電子書籍に
原作者がファンサイト「ポッターモア」を開設して電子書籍販売に未発表原稿の公開まで
ユーザー参加型 新サイトでファンに夢の世界を提供すると語ったローリング Suzanne Plunkett-Reuters
『ハリー・ポッター』シリーズの作者J・K・ローリングは23日、ハリポタファンのための新サイト「Pottermore(ポッターモア)」を7月末に開設すると発表した。同サイトを通じてシリーズ7作品の電子書籍を10月から販売し、ファン参加型のサービスも提供する。
ハリポタシリーズの電子書籍の出版権を自ら所有しているローリングは、アマゾンの「キンドル」やバーンズ&ノーブルの「ヌック」、アップルの「iBook」などの電子書籍ストアを通じてではなく、読者への直販方式を選んだと、CNNは伝えている。一方で、その出版形式はiPadなどすべての電子書籍端末に対応可能なオープンソース型にするという。
ローリングはYouTubeでポッターモアについてこう語った。「ハリー・ポッターを応援し続けてくれたファンたちに何か恩返しがしたかったし、この物語をデジタル世代にも届けたかった。長年のファンも、今回ハリー・ポッターを初めて読む人にも、楽しみながらポッターモアを充実させていってほしい」
デジタル出版権の莫大な価値
ワイアード誌によれば、ローリングがハリポタシリーズの電子版の出版権を売却した場合、その価値は1億6000万ドル相当にも上る。だが「出版権を手放さず、自身が運営するサイトで販売することで、ローリングは出版権の売却とは比べ物にならないほどの利益を得るだろう」。ハリポタシリーズを出版する英ブルームズベリー社と米スカラスティック・ブックス社は、電子版の出版権を所有していない。
ワイアード誌はこう書いている。
ローリングのやり方がさらに大胆な点は、コンテンツの複製や複数の端末での利用を可能にするDRMフリーでの販売を選択したことだ。その代わりに彼女は、電子書籍の購入者を特定できる電子透かし技術を採用しようとしている。電子透かし技術は不正コピーの行為を防ぐことはできないが、その行為者を追跡して特定できる。DRMフリーだが購入したコンテンツごとにユーザー情報が埋め込まれているiTunesと同じような仕組みになる。
ローリングはポッターモアをユーザー参加型のインタラクティブなサイトにしていく計画だ。ハリポタシリーズに登場する人物や場所にまつわる情報、さらには未発表の原稿も公開。オンラインで小説の舞台を旅したりゲームができたるなど体験型コンテンツも充実させ、ファンがハリポタの世界にどっぷり浸かれるようなサイトを目指すという。
「ファンからは今でも大量の手紙や自作の絵などが送られてくる」と、ローリングは言う。「ポッターモアは、私が本を書き始めたときには存在しなかった媒体。この新しい媒体でハリー・ポッターが生き続けることになる」
「ポッターモアを使えば、ファンたちはどこにいても同じ体験を共有できる。幸運にも、私にはこの構想を実現できる環境があり、実現に向けて十分な時間をかけることができた。すべての作家が同じことをできるわけではないが、ハリー・ポッターについてはこれが進むべき道だった。ファンたちと直接交流できることが、たまらなくうれしい」