最新記事

新興国

BRICS「俺たちにはカネがある」

2011年4月15日(金)17時10分
キャサリーン・E・マクラフリン

中国が推し進める「民主主義」

 厳重に管理された首脳会議の傍ら、BRICS各国のビジネスリーダーたちが自分たちの国こそ主要な投資先で貿易相手だと宣伝しながら、新たな契約先を探して動き回っていた。ここでは米ドルはすっかり脇に追いやられていた。各国の開発銀行の職員は、米ドルではなく自国通貨建てのお金の貸し借りの枠組みをこれから構築していくことに合意した。

 結局、会議の主役だったのは中国だ。会議は厳重な警備とメディアコントロールによって周到に演出されていた。首脳たちの記者会見はメディアに公開されたが、記者は質問が許されなかった。BRICSの声明のほとんどは明らかに開催国である中国の主張だ。中国の掲げる「平和と調和と協調、そして科学的な発展」ばかりが大げさに宣伝された。

 今、問題なのはBRICSが求めるさらなる影響力の拡大にほかの途上国がどう反応するかだ。中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は演説の中で、ほかの国から干渉されることのない平和で調和のとれた未来、というビジョンを掲げた。「大きな国も小さな国も、強い国も弱い国も、豊かな国も貧しい国もすべての国が国際社会の平等なメンバーだ」と、胡は語った。「われわれは民主主義の精神に基づき、包括的かつ協力的でウィン・ウィンの関係を確立できる共通の平和を目指すべきだ」

「国家の内政はその国が独立して対処すべきで、国際的な問題はすべての国による協議で共同で扱うべきだ」と、胡は言う。「多国間主義と国際協力を受け入れ、国際社会における民主主義を推進すべきだ」

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中