BRICS「俺たちにはカネがある」
中国が推し進める「民主主義」
厳重に管理された首脳会議の傍ら、BRICS各国のビジネスリーダーたちが自分たちの国こそ主要な投資先で貿易相手だと宣伝しながら、新たな契約先を探して動き回っていた。ここでは米ドルはすっかり脇に追いやられていた。各国の開発銀行の職員は、米ドルではなく自国通貨建てのお金の貸し借りの枠組みをこれから構築していくことに合意した。
結局、会議の主役だったのは中国だ。会議は厳重な警備とメディアコントロールによって周到に演出されていた。首脳たちの記者会見はメディアに公開されたが、記者は質問が許されなかった。BRICSの声明のほとんどは明らかに開催国である中国の主張だ。中国の掲げる「平和と調和と協調、そして科学的な発展」ばかりが大げさに宣伝された。
今、問題なのはBRICSが求めるさらなる影響力の拡大にほかの途上国がどう反応するかだ。中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は演説の中で、ほかの国から干渉されることのない平和で調和のとれた未来、というビジョンを掲げた。「大きな国も小さな国も、強い国も弱い国も、豊かな国も貧しい国もすべての国が国際社会の平等なメンバーだ」と、胡は語った。「われわれは民主主義の精神に基づき、包括的かつ協力的でウィン・ウィンの関係を確立できる共通の平和を目指すべきだ」
「国家の内政はその国が独立して対処すべきで、国際的な問題はすべての国による協議で共同で扱うべきだ」と、胡は言う。「多国間主義と国際協力を受け入れ、国際社会における民主主義を推進すべきだ」