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アンドロイド携帯がiPhoneを駆逐する日

2010年11月16日(火)14時31分

 グーグルのOSアンドロイドを搭載したスマートフォンがこの春初めてアメリカの市場シェアでiPhoneを抜いたとき、専門家はこれが一時的なものか、アンドロイド支配の始まりかどうか測りかねた。

答えは後者かもしれない。米市場調査会社NPDグループによると、アンドロイド携帯の米市場シェアは昨年冬から急上昇し始め、今年7〜9月期は前期より11ポイント伸びて44%になった。対するiPhoneは1ポイント増の23%にとどまっている。

 快進撃が始まった09年の夏には、まだiPhone優位を唱える専門家が多かった。当時、ハイテクライターのジョン・グルーバーはロイター通信のブログで「端末の開発を携帯電話機メーカー任せにすればグーグルは最終製品に対するコントロールを失う」から、ろくな製品ができるはずはないと予測した。

 だが現実は正反対だ。世界のメーカーから毎月のように新製品が発売されるアンドロイド携帯には、ファミリー向けからビジネス向けまであきれるほどのバリエーションがある。

 モトローラ社だけでもSNSに最適化した低価格の「チャーム」もあれば、大画面・高スペックのスーパーフォン「ドロイドX」もある。アップルがiPhoneだけなのとは対照的で、値段もおおむねアンドロイド携帯のほうが安い。

 iPhone向けアプリの数は約30万だが、アンドロイドも2年で10万以上と急伸中。ハイテクサイトのプラグドインはGメール、グーグルカレンダー、グーグルマップはアンドロイド携帯でも使いやすく、パソコンとの同期も極めてスムーズだと絶賛している。

「アンドロイドは全米の累計販売シェアでもノキアのシンビアンOSを抜いて1位になる勢いだ」と、NPDグループのアナリスト、ロス・ルービンは言う。

 iPhoneは最も儲かるスマートフォンであり続けるだろうか。高くても売れるブランド力と、囲い込み型ビジネスが続けばそれも可能だろう。ただ市場が雪崩を打ってアンドロイドに殺到すれば、パソコンのマックがウィンドウズに駆逐されたのと同じ事態が起こりかねない。

 とはいえ今はAT&Tでしか使えないiPhoneが米最大手携帯電話事業者ベライゾンで使えるようになったり、マイクロソフトの新OSウィンドウズフォン7が登場すれば、状況はまたガラリと変わるのだが。

[2010年11月17日号掲載]

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