「五輪」主催でバレたインドの後進ぶり
元スポーツ相で最大与党、国民会議派の国会議員のマニ・シャンクル・アイヤルは、インドが今後、大きなスポーツイベントのホスト国になることがないよう、英連邦競技大会が失敗に終わってほしいという。「大会に費やされたカネがあれば、地方のインフラを整備したり、インドをスポーツ大国にするために多様な種目のスポーツ選手に強化費を出したりできたはずだ」
この主張に同調したインド・サッカー界の星、バイチュン・ブティアも「大会を誘致すべきではなかった」と話した。
こうした否定的な反応を受けて、マンモハン・シン首相は先月、大会の責任者らを呼びつけ、少なくとも4人の高官を汚職を理由に解任。ほかの関係者も警告を与えた。さらにシンは、織委員会委員長のスレシュ・カルマディに大臣たちへの説明責任を課した。シンと国民会議派のソニア・ガンジー総裁は大会終了後に汚職を厳しく取り締まると約束しているが、まだ誰一人として告発されていない。
先週、シンは開会式と閉会式が行われるスタジアムに自ら足を運び、工事を急ぐよう関係者にはっぱをかけた。だが、何をしてもインド国民は自信を取り戻せない。実際、最大野党のインド人民党(BJP)からは、国民を活気づけることができないシンを馬鹿にする発言も聞こえている。「首相が自ら床掃除をしようとしているのに、スタジアムはまだ完成していない」と、BJPの有力者ナレンドラ・モディは言う。
インドの名声を高めるチャンスを逃した非効率で無神経な指導層に、多くの国民が怒りを募らせている。国民はもはや栄光を求めていない。ただ、救いようのない大失敗だけは何とか回避したいというのが、彼らの唯一の願いだ。