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金融急増するアジアの大富豪を取り込め
アジアには現在、資産100万ドル以上の大富豪が300万人いる。米証券会社メリルリンチらの調べでは、ミリオネアの数は1年前と比べ26%増加したという。アジアの富豪の資産総額は9兆7000億ドル。ヨーロッパのそれを上回り、北米の水準に迫りつつある。
このニューリッチを顧客にしようと、金融大手は富裕層に資産運用や節税対策などをアドバイスするウェルスマネジメント部門の拡充を急いでいる。JPモルガン・チェースは2月、国際プライベートバンク部門(資産1000万ドル以上の顧客が対象)の本部をニューヨークから香港に移した。
バークレイズ・ウェルスは7月、三井住友銀行と日興コーディアル証券と手を組み、日本での富裕層向けサービスの開始を発表した。ドイツ銀行もクレディ・スイスやシティバンクなどから資産運用アドバイザーを引き抜き、アジアでの顧客開拓に努めている。
ボストン・コンサルティング・グループ香港のチュン・タンによると、アジアの富豪は資産の多くを現金で持ちたがるが、不動産や未公開株などハイリスク投資にも関心を寄せている。アジア経済は強固な成長を続けている上、貯蓄率も高い。アジアの世帯の平均資産は世界平均の2倍に達する可能性もあるという。
[2010年8月18日号掲載]