iPadがキンドルを葬れなかった理由
読書には専用端末が一番
昨年秋、アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)を取材する機会があった。当時はiPad発売がまだ憶測でしかなかった頃だ。
ベゾスは、アップルのタブレットはキンドルの脅威ではなく、キンドル用の本がiPhoneでも読めるのと同じような補完関係になると言った。「われわれはタブレットを歓迎する」と彼は言った。「使う機器は何であれ、本を読みたい人がいる限りサポートする」
アマゾンにとってはキンドルを売ることは重要ではないのではないかと尋ねると、そんなことはないが、「キンドルという端末とキンドル・ブックストアの目標は同じではない」と答えた。
べゾスは、「読書専用に開発された電子リーダー」の市場は存在すると主張した。「スイスのアーミーナイフと違っていろんな道具が出てくるわけではないが、読書には専用機器がふさわしいと信じている」
少なくとも今のところ、正しいのは彼のほうに見える。
[2010年8月 4日号掲載]