世界経済の上下が逆転する
2010年6月16日(水)17時16分
例えばブラジルは最近、米化粧品会社エイボン・プロダクツの最大の市場になった。多くの高級ブランドの売り上げは今や、中国がアメリカを上回る。こうした状況では、問題を抱えるギリシャのようなヨーロッパの小国でビジネスを拡大しようという企業がなかなか現れないのも当然だろう。
実のところ、世界の構造は引っくり返ったのではなく、元に戻りつつあるのだ。ギリシャは19世紀前半に近代国家の仲間入りを果たして以降の年月の半分にわたって、デフォルト(債務不履行)状態にあった。
16世紀以前は中国とインドが1人当たりGDP(国内総生産)でヨーロッパを上回り、その後200年にわたってヨーロッパが成長しても追い抜けなかった。逆転したのは19世紀になってからだ。
この両者の関係が今また、逆転しつつある。50年には中国やインドなど主要新興国が世界経済に占める比率は60%に達し、世界の中流消費者の大多数を抱えることになるだろう。欧米の大企業が上海やムンバイなどアジア経済の中心地に有能な重役を送り込むのも当然だ。
[2010年5月 5日号掲載]
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