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パソコンジョブズ不在でアップル怠慢?
アップルの最新OS「スノーレパード」は不具合だらけ
スティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)が極秘に肝臓移植手術を受け、不在だった6カ月間、アップル社はいつもどおりですべてがうまくいっていた。これが世間の一般常識だった。だが、同社が8月末に発売したOS(基本ソフト)の最新版「スノーレパード」に関するパッとしない評価報告を読んで、私は本当にそうかと疑念を抱き始めた。
複数の報告書によると、スノーレパードには一般ユーザーに分かるほどの改良点が見当たらない。その代わりに加わったのが、多くの異常や不具合だ。いくつかのドライバは作動さえしない。他社製のアプリケーションのなかには、スノーレパード用に書き換えないと機能しないものもある。
アップルはこれらの問題をソフト開発業者と共に解決していく方針なので、マイクロソフト社がウィンドウズ・ビスタを開発したときのようなバッシングは回避できるだろう。それにアップルのファンのほうが、欠陥も大目に見がちだ。
だが完璧主義の独裁者として名高いジョブズがいない間、部下たちが少々だらけてしまったのではないかと思わずにはいられない。一体なぜ、このような製品が世に出ることになったのか。スノーレパードは人生が変わるような革新的技術で感動させてくれるわけでもなく、ちゃんと動いてくれさえしない。はっきり言って、とても「アップルらしくない」のだ。
もちろん、スノーレパードは前身の「レパード」よりも高速だ。ハードディスクドライブ内に占める容量も縮小された。現在出荷中のすべてのマッキントッシュには、スノーレパードが搭載されている。
悪いレビューには法的圧力も
マイクロソフトも、もうすぐウィンドウズOSの最新版「ウィンドウズ7」を出荷する。正式発売は10月だが、ここ数カ月間は誰でも無料でベータ版のダウンロードが可能だった。私も1月から数台のコンピューターで使用してきたが、これがすごい。安定していて、速くて不備がない。ウィンドウズ7は出荷される頃には、何百万人ものユーザーのテストを受けたことになる。
一方、セキュリティーと機密に異常なほど敏感なアップルは先月、スノーレパードの「第一印象」に関するレビューを掲載したイギリスのウェブサイトに法的な圧力をかけた。
アップルの最新OSがひどい前評判どおりのものなのか、実際はもっと良いものなのかはまだ分からない。だがスノーレパードとウィンドウズ7の格差は、レパードとウィンドウズ・ビスタほどには広がらないだろう。
なぜなら一見すると大きな変化がみられないスノーレパードも、具体的な中身には変化があるからだ。例えば、新しいコンピューターチップを生かしたソフトウエアによって、同時に複数の処理ができるようになった(いわゆるパラレルプロセッシングだ)。またソフト開発者が、メインプロセッサーとは別に動く画像プロセッサーを利用して、プログラム作成を行うことも可能になった。この2つの特徴によって、より高速で作動するアプリケーションの開発が可能になるだろう。
愛用しているのがマックでもウィンドウズでも、または私のように両方でも、今年末までには昨年より良いOSが使えるようになるのはうれしいことだ。たとえスノーレパードが、ジョブズの厳しい基準を満たしていないとしても。
[2009年10月28日号掲載]