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2009.08.03
ニューストピックス
『愛と青春の旅だち』
恋の痛みがスクリーンににじみ出る
2009年8月3日(月)13時06分
[英語版1982年8月 2日号掲載]
筋書きは陳腐だし、これ見よがしの場面も鼻につく。それでもこの映画を見ると、久しぶりに家庭料理を食べたときのような、満ち足りた気持ちになる。最近は本物の恋愛映画がめっきり少なくなった。ストイックな役は得意でも、愛情をぶつけ合う役はまるで駄目な役者が増えているからだ。
その点、この作品のリチャード・ギアとデブラ・ウィンガーのうまさには脱帽だ。2人が現れると、つややかさと恋の痛みがスクリーンににじみ出る。
2人が置かれた逆境も、観客の心を揺さぶる。ギアの役どころは、うらぶれた境遇から抜け出す日を夢見る士官候補生。ウィンガー扮する町工場の娘も、退屈な日常からの脱出をギアとの恋に賭けている。設定はありふれているが、そこは監督の腕の見せどころ。
ギアの演技はこれまでで最高だ。愛されることに不安を感じる、孤独な青年の心理を見事に表現している。ウィンガーの感情がこもった演技も素晴らしい。
なんとか結ばれてほしい、これは人生を賭けた恋なのだから──観客はそう思わずにはいられない。まさに、ラブストーリーのかがみというべき作品である。
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