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新型コロナのパンデミックから5年、中国人はなぜ李文亮を懐かしむのか
中国人は自分自身のために泣いている
李は、メディアに「疫情吹哨人」(新型コロナの警鐘を鳴らした人)と描かれたが、本当の彼は必ずしも英雄ではなく、14億人の中にいる、ごく普通の中国人にすぎなかった。誠実さと良心はあっても公権力と戦う勇気はなく、警察から訓戒された時、抵抗せずに「罪」を認める署名をした。李はまるで現代中国人の鏡のような存在だ。
パンデミックから5年が経過した現在も、李を懲戒した組織の誰も責任を問われていない。それだけではなく、「患者第1号」は誰か、ウイルスが発生した本当の原因は何か、依然として謎のままだ。李の死を悼んで泣いているように見える中国人は、実際には自身の不幸や社会の不公平、個人としての無力感、そして勇気を失った自分自身のために泣いているのだ。
ポイント
SARS
中国名は非典型肺炎。コロナウイルスが原因で2002年11月に中国南部の広東省から発生。ベトナムや香港、カナダ、アメリカなどに広がった。全世界で8098人が感染、774人が死亡。
李文亮
1985年遼寧省生まれ。90年代に父母が共にリストラされ極貧生活を送ったが、成績優秀で武漢大学臨床医学部に合格。死去後の2020年3月、中国政府が感染抑制に模範的な役割を果たしたと表彰した。

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