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風刺画で読み解く中国の現実 Superpower Satire (CHINA)
上海市民の「賞味期限」は豆腐より短い──新たな流行語「新能源人」の意味とは?
©2022 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<やっと「事実上のロックダウン」が解除された上海だが、今もどこに出かけるにも72時間以内のPCR検査での陰性証明が必要とされる>
2カ月以上に及んだ上海のロックダウンがやっと解除された。ある70代の上海人の老紳士は家から出て、SNSの微信に自撮り動画でこう投稿した。
「私の家族は曽祖父の代から上海に暮らすが、自由に街に出られないのは上海の開港以来初めてだ! この身だしなみに無頓着な私を見てほしい。2カ月ぶりの外出にうれしさよりむしろ屈辱感を感じる。皆さん、これを歴史としてしっかり覚えておこう」
「大白」と呼ばれ、強引な感染者の隔離で市民に嫌われていた白衣の防護作業員すら、防護服に「全劇終(おしまい)」「くそゼロコロナ」と書いて不満を示した。
不思議なことに中国当局はいまだに「封城(ロックダウン)」という言い方を認めない。ロックダウンを始めた3月15日の記者会見でも、上海市政府の担当者は「上海はロックダウンしていない。ロックダウンの必要もない」と強調した。
解除した現在も同じように「上海市民の外出管理は政府の統一した要求ではなく、市民自らの自治による」と公言した。強制は一切なく、全市民が自主的に家に閉じ籠もっていたというのだ。歴史の罪人になりたくないから、政府は市民に責任を押し付けたわけだ。
ただ安心はまだできない。ロックダウンが解除されても、上海で公共施設や公共交通機関を利用するときは72時間以内の核酸検測(PCR検査)の陰性証明が必要──と政府は厳令した。企業や地域によっては48時間以内の証明を要求するところもある。
そのため、上海のPCR検査所はどこも長蛇の列。長時間列に並んで検測を受けた後、陰性証明を取得するまで7~22時間かかる。あっという間に有効期限が来るので、また急いで次の検査を受けなければならない......。終わりがないPCR検査は、上海人を品質保証期限が2~3日間の「新能源人(新エネルギー人)」にしたといわれている。48時間か72時間以内の陰性証明がなければ一歩も先へ進めない、という皮肉だ。
「上海人としての賞味期限は1丁の豆腐に及ばない。豆腐の賞味期限は5日間、上海人はたったの2~3日」という自虐的なネット投稿が、最近ひそかに受けている。
ポイント
核酸検測
ゼロコロナ政策にこだわる中国政府は、特にオミクロン株の急増後に大規模なPCR検査を国中で実施。1000回以上検査を受けた人もおり、検査キットを作る企業の利益が急増した。
新能源人
数時間ごとに指定の検査場所でPCR検査を受けて陰性証明を取得し、常にスマホの健康証明アプリの表示を「感染なし」の緑色にしないと安心して行動できない人間を指す言葉。
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