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プーチンの部分動員令によってロシアが分裂? ロシア人男性の国外脱出が止まらない
プーチンが部分動員令を発令して以降、大勢のロシア人が動員への抗議活動に参加し、軍の徴兵事務所が襲撃され、ロシア人男性の国外脱出が止まらなくなっている。いまロシアの人々は、プーチンが暗黙の契約を破ったことにより、これまでよりも政府への怒りを強めているのだろうか。
プーチンは、戦争遂行に関して軍上層部の言うことを聞かず、軍事作戦の細部まで自分で指図していると言われる。そして、今度はほとんど訓練を受けていない兵士を最大12万人も前線に送ろうとしている。1年後には、ロシア軍の死傷者が10万人を突破しても不思議でない。
プーチンは9月30日、ウクライナ東部・南部の4州の一方的な併合の調印式で演説し、アメリカに対する敵意をむき出しにしたが、ロシアの高官たちの表情は非常に険しかった。それは勝利の祝祭というより、葬式を思わせた。プーチンが大規模動員に踏み切ったことにより、国内の亀裂が表面化する可能性もある。
私は、この式典に出席していたロシアの高官の大半よりも、ロシア各地を訪ねてきた。その経験から言うと、「ロシア人としてのアイデンティティー」なるものは極めて脆弱だ。なんらかの火種があれば、チェチェン紛争のように、火薬庫がたちまち激しく燃え上がってもおかしくない。
例えば、ロシア連邦を構成する共和国の1つである南部のダゲスタン共和国(イスラム教徒が中心だ)では、プーチンが発令した部分動員令に対する激しい抗議活動が起きている。ロシア軍への招集は、少数民族が対象になるケースが際立って多いのだ。
いま、ロシアはウクライナで死闘を繰り広げている。遠くない将来、ロシア領内でロシアのパスポートを持つ者同士の戦闘が始まるかもしれない。
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