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なぜアメリカの中絶反対派は中絶に反対するのか

6月24日、ワシントンの連邦最高裁前に集まった中絶反対派 ANDREW LICHTENSTEINーCORBIS/GETTY IMAGES
<カトリックの教えと思われがちだが、彼らは死刑の存続や福祉の縮小などイエスの教えに反する主張を繰り広げる>
米連邦最高裁判所が6月24日、女性が人工妊娠中絶を受ける権利を認めた1973年の最高裁判決を覆す判断を下し、国内外に大きな衝撃が走った。
表面的には、連邦最高裁のカトリック教徒の判事たち(とカトリック系の教育を受けた判事)が自分たちの宗教的信条を判断に反映させたように見える。定員9人の連邦最高裁は何十年にもわたり、プロテスタント7人、カトリック1人、ユダヤ教徒1人というメンバーで構成されてきたが、現在はカトリック教徒の割合が大きくなっている。
今回、中絶の権利を制限することに賛成した6人の判事は全て、広い意味でカトリック系の人たちだ(5人は敬虔なカトリック教徒。もう1人は現在カトリック教徒ではないが、カトリック教徒の家庭で育ち、カトリック系の教育機関で学んだ人物だ)。
しかし、今回の判決が生まれた最大の要因を判事たちの宗派に求める考え方は、見当違いと言わざるを得ない。
私は判決の後ほどなく、大学のアメリカ政治入門の授業で学生たちの意見を尋ねた。私が所属しているジョージタウン大学は、アメリカ最古のカトリック系大学。私の授業の受講生の半分以上はカトリック教徒だ。
しかし、多くの学生は判決を厳しく批判した。世論調査の結果は一様でないが、概してカトリック教徒の半分以上は、あらゆる状況で中絶を合法とすべきだと考えている。その割合は、国民全体とほぼ変わらないか、わずかに少ない程度だ。
私はもともと聖職者志望で、大学の修士課程で神学を専攻したこともある。その立場から言うと、「生命尊重」という大義名分の下で中絶反対を唱える保守派の多くは、死刑の存続、移民の厳しい取り締まり、福祉の縮小など、カトリックの教えに反する主張をしている。
今回の判決で反対意見を執筆した3人のリベラル派判事は、判事の多数意見を辛辣に批判し、あからさまな政治的行動だと指摘した。その指摘は当たっている。
この裁判では、妊娠15週以降の中絶を原則として禁止するミシシッピ州法の合憲性が争われた。多数意見では、憲法は中絶の権利を保障しておらず、それぞれの州が中絶を規制する権限を持つとの判断を示した。
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