コラム

組織心理学の若き権威、アダム・グラントに聞く「成功」の知恵

2022年06月11日(土)13時26分

世界で最も 権威あるビジネス思想家ランキン グ「THINKERS 50」の1人に選 ばれたアダム・グラント PHOTOGRAPH BY PASI SALMINEN

<思い込みや既存の慣行に縛られず臨機応変に対応するために必要な「再考」のテクニックとは>

アダム・グラントが現代アメリカのプラトンとされるのには一理ある。ほぼ毎年、全米一のビジネススクールの最高の教師と評され、若い頃から興味深く先駆的な研究論文を世に送り出してきた。10年以上前に20代の若さで既に生涯特別功労賞に値するような卓越した業績を挙げていた。

学術面でハリウッド映画の脚本のように成功遂げている一方で、全く異なる分野でも活躍を見せている。世界中の有力紙で見識を披露しニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト入りの常連であるほか、学術的なアイデアや一般向けのアイデアを量産しているイメージがある上、ビジネスコンサルタントとしても引っ張りだこ。NBAからゲイツ財団やグーグルまで名だたる一流の企業や組織がこぞってグラントのアドバイスを求める。リンクトインにおけるグラントのフォロワーは今年末までに500万人を超えることは間違いないだろう。

組織心理学者であるグラントの最新作『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』は分裂し対立する世界に不可欠な、彼の現実離れした成功の理由も分かる一冊だ。

その中でグラントは、どうすればパフォーマンスを向上し予測向上につながるか、より賢明な決断をしたり、自分の立場に固執する人々を説得したりできるか、具体的かつ正確に、タイムリーなリサーチやエピソードや助言を提供する。

『THINK AGAIN』も前作までと同様ベストセラーに。その刊行に合わせた記事で、グラントはモチベーショナル・インタビューという説得法を紹介。新型コロナのワクチン接種を受けたがらない友人や家族を説得する方法について、彼らしいユーモアと素晴らしい解説で、ハリー・ポッターへの言及も交えて説明している。

例えば、おじさんが「名前を言ってはいけないあの人」を支持するのをやめさせるにはどうすればいいか、という具合だ。4月18日には邦訳版も刊行。『THINK AGAIN』をより理解するにはどうすればいいか。

8年近く前にグラントと初めて会って以来、彼の著書を追い掛け、自身もモチベーショナル・インタビューを外交の授業で実践している米ジョージタウン大学教授のサム・ポトリッキオが、話を聞いた。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story