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【モスクワ発】ウクライナ戦争を熱烈支持するロシア人の心理
ロシアがウクライナに 侵攻した2月24日の モスクワ・赤の広場 ANDREY RUDAKOVーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<多くのロシア人は親族にウクライナ人がいるが、それでもなおプーチンの戦争を支持している>
子供時代のウラジーミル・プーチンに関する有名な話がある。
貧しい環境で育ったプーチン少年は、アパートでしばしばネズミと遭遇した。あるとき、1匹のネズミを隅に追い詰めたことがあった。
すると突然、そのネズミが猛烈な勢いで歯向かってきた。その経験を基に、プーチンはこう忠告している。敵を窮地に追い込んだときは、激しい抵抗があると覚悟しておいたほうがよい、と。
今のロシア情勢に重ね合わせると、実に不吉な忠告だ。ウクライナ問題で追い込まれたプーチン大統領がこのエピソードのネズミのような行動を取っても不思議でない。
西側で指折りの安全保障専門家の1人もその可能性を指摘する。
「予想より厳しい事態に直面して、(プーチンは)捨て鉢になるだろう」と、オバマ政権で国防長官を務めたアシュトン・カーターは言う。「その結果、暴力のレベルをさらに引き上げることになりそうだ」
ロシアのウクライナ侵攻という賭けが途方もない失敗だったという点で、専門家の見方は一致しつつある。
ある著名な軍事専門家が私に語ったところによれば、ロシアはいくつかの計算違いをしていたという。
第1に、ウクライナがすぐに降参するものと思い込んでいた。ウクライナ人の闘志と戦闘能力を見くびっていたロシア側は、初期段階で激しく動揺する羽目に陥った。
第2に、元俳優のウォロディミル・ゼレンスキー大統領を中心に、ウクライナがこれほど有効なメディア戦略を展開することも予想できていなかった。ウクライナ人の言葉や戦いぶりは、世界の人々の共感を集めている。有名アスリートや元ミス・ウクライナ、前大統領などが武器を取り、祖国を守ろうとしている。
第3に、ロシアは西側の結束を過小評価していた。西側諸国は、堕落と自信喪失と無関心ゆえに、ロシア軍がウクライナの首都キエフを制圧し、ウクライナ指導部の首をすげ替えることを容認するだろうと考えていた。
ウクライナを支援したり、ロシアに厳しい制裁を科したりすることはないと踏んでいたのだ。
ウクライナ政府に責任転嫁これらの誤算が積み重なった結果、ロシアが軍事的勝利を手にするために、途方もない犠牲を払うことはもはや不可避だ。
ロシア兵の命とロシア経済に甚大な犠牲が生じるだけでなく、ウクライナのおびただしい数の一般市民の命も失われることが避けられない。
ロシアは当初、これを「特別な軍事作戦」と呼び、最小限の犠牲により短期間で目的を達成できると考えていた。
しかし次第に、シリア紛争やチェチェン紛争のような血みどろの戦いになりつつあるように見える。
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