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「将来の大統領候補」ハリスの人気が凋落した理由
大統領予備選でも急失速の原因になったハリスの重大な欠点とは GREG NASHーPOOLーREUTERS
<輝きを失った背景には失言や人種差別なども指摘されるが根本的な問題はそこではない>
カマラ・ハリスは、ついに現代アメリカ史上最も不人気な副大統領になってしまった。
11月の世論調査では支持率が30%を割り込んだ。副大統領就任当時の輝きはどこへ消えてしまったのか。
人気急落の要因としては、バイデン政権で任されている政策の難しさ、不安定なコミュニケーション、そして女性初・黒人初・アジア系初の副大統領として直面する差別が主に指摘されている。これらの指摘は、いずれも的を射ている面がある。
まず、ハリスはバイデン政権で移民政策の陣頭指揮を執っているが、政権の移民政策を支持する人は35%にすぎない。しかも、移民問題はハリス自身の看板政策でもあるので、支持率へのダメージがひときわ大きいとされる。
また、コミュニケーション面にも確かに問題がある。つい最近のテレビインタビューでも救いようのない失言をした。今日のアメリカ社会のムードを「マレーズ(沈滞)」という言葉で表現したのだ。
アメリカがエネルギー危機などで苦しんでいた1979年、当時のカーター大統領は国民に向けてテレビ演説を行い、アメリカの「自信の危機」を指摘した。カーター自身は「マレーズ」という言葉を用いたわけでなかったが、この演説はマレーズ・スピーチと呼ばれるようになった。
翌80年の大統領選でカーターが再選に失敗したこともあり、政治の世界で「マレーズ」は負け犬を即座に連想させる言葉になっている。ハリスがインタビューでこの言葉を使ったことは、超弩級の失態と言わざるを得ない。
支持率急降下に関する最も手っ取り早い説明は、性差別と人種差別に原因を求めるものだ。この説を主張する人たちは、女性と男性、マイノリティーと白人の間で、ハリスの支持率に大きな落差があることを指摘する。
「ガラスの天井」を打破した人物は、とりわけ厳しい目で見られるというのだ。この3つの指摘は全て一面の真理を含んでいるが、いずれも人気急落の最大の根本原因ではない。
問題は、ハリスが「悪いボス」だという点にある。表舞台で活動する期間が長くなるほど、この欠点が際立ってきている。
思い出してほしい。2020年大統領選の民主党候補者指名レースの序盤、ハリスは注目株として脚光を浴び、一時は世論調査の支持率で2位に立ったこともあった。
しかし、勢いは長続きしなかった。陣営の内紛、コミュニケーションと資金集めの不手際、ボランティアの士気低下により、選挙運動はうまくいかなくなり、多くのスタッフが逃げ出した。
副大統領就任後も同じことが繰り返されている。幹部の退任が相次いでいるのだ。スタッフはハリスを「沈みかけている船」と感じ、早々に脱出しようとしているという話も聞こえてくる。
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