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トランプの成績表:サイボーグ超えの破壊力で自国の評判を落としたが...
TRASH=ごみ箱、U.S. ALLIES=アメリカの同盟国 ILLUSTRATION BY ROB ROGERS FOR NEWSWEEK JAPAN
<外交、経済、内政、安全保障――「ガキ大将」をどう評価するか? リーダーとしての能力と資質からアメリカ政治を読み解く。世界の首脳を査定した本誌「首脳の成績表」特集より>
ドナルド・トランプが今も大統領職を続けているのは現代の奇跡と言っていい。単純に死亡率のデータから言っても、彼ほど太った男が睡眠不足で絶えず怒りを爆発させながら世界で最も過酷な職務を3年も続け、体力の衰えすら見せないのは驚異としか言いようがない。何か特別なスタミナ源でもあるのだろうか。
その超人的な「重力」は、共和党主流派の軌道までゆがめてしまったようだ。2016年の大統領選予備選であれほどトランプの指名に抵抗していたのに、ほぼ全員があっさりと彼の周りを回り始めた。
今や共和党はトランプの党だ。共和党支持者の90%超がトランプの実績を認めている。1期目のこの時期では歴代の共和党大統領の中で最高だ。トランプはまずまず安定した支持基盤を確保して再選を目指すことになる。ヒラリー・クリントンを破った前回の大統領選と比べ、今のほうが足場は盤石かもしれない。しかも、いま民主党の指名を争っている面々の中にはクリントンほど手ごわい相手はいない。
外交でトランプは選挙戦中の公約をおおむね果たした。予測不能で失言・暴言が目立つが、国際社会への関与からアメリカを引き戻した点は一貫している。イランとの核合意や気候変動対策しかり、EU、NATOとの同盟関係しかり。トランプは一国主義を貫くために最大限努力した。
テロ組織ISIS(自称イスラム国)掃討には政権の総力を挙げて取り組んだ。その最高指導者の首を討ち取った快挙を、トランプは選挙戦で大いにアピールするだろう。
中国には貿易戦争を仕掛け執拗に「口撃」を繰り返して、新興の超大国を戦略的なパートナーから敵国に位置付け直した。トランプを快く思っていない人たちも、この動きはおおむね黙認しているようだ。
さらにトランプは北朝鮮の領土に足を踏み入れ、在イスラエル米大使館をエルサレムに移転し、オバマ前政権によるキューバとの国交回復を後戻りさせた。次々に大仕事を成し遂げたという意味では外交の評価は高いかもしれない。それにしても国務省の重要なポストの多くが空席のままで、これほど数々の荒業をやってのけた大統領はほかにいない。優秀な人材はキャリアと評判が傷つくことを恐れて、気まぐれな大統領の下で働こうとはしなかった。
有権者の良識が問われる
トランプは経済でも既存路線とは全く違った方向へ舵を切った。TPPを離脱、EUや日本などに貿易協定の締結を求め、カナダ、メキシコとの貿易協定を改定した。税制改革を実施し、法人税率を大幅に引き下げて短期的には景気を拡大させた。
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