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「オバマの再来」オロークが民主党予備選から撤退......候補者レースの本質は「対比」にあり
オバマから後継者として期待されたオロークだったが、大統領選の民主党候補者指名争いから撤退した ERIC THAYER-REUTERS
<オロークが18年上院選で注目されたのは、不人気な共和党現職テッド・クルーズと比較されたから>
アメリカ民主主義のスーパースターは、人物の中身より他者との対比によって生まれることが多い。例えばオバマ前大統領。2000年のオバマと2004年のオバマに大差はなかったが、2000年の下院選では予備選で地味な現職候補に大差で敗れ、4年後の上院選は歴史上最大の地すべり的圧勝で当選した。
だからオバマはよく分かっていたはずだ。ベト・オローク前下院議員が2018年の上院選で一躍注目の的になったのは、本人に特別な何かがあったからというより、ひどく不人気な共和党の現職テッド・クルーズとの対比のおかげだったという事実を。それでもオバマはオロークに対し、自分の後継者として大統領選に立候補するよう個人的に勧めたという。
大きな判断ミスと言わざるを得ない。事実、「オバマの再来」と呼ばれるほどの人気を誇ったオロークは11月1日、大統領選の民主党候補者指名争いから撤退した。
オローク<ブーティジェッジ<?
オロークは自力ではどんな分野でも目立った成果を残せなかった人物だ。学生時代の成績はぱっとせず、飲酒運転で複数の逮捕歴があり、ミュージシャンとしてもビジネスマンとしても成功できなかった。
上院選の敗北後、大統領選への立候補は自分の運命だと感じた――オロークは雑誌のインタビューでそう語ったが、選挙運動は勢いを欠き、大げさな身ぶり手ぶりや中身のない軽さ、すぐに興奮する性格はしばしば嘲笑を浴びた。オロークは出馬宣言の前、上院選の敗北後に全米中を回る「自分探し」の旅に出たという。自己愛の強さと精神の不安定さを表す行動だ。
だが敗因は、大げさな腕の動きや底なしの自己愛ではない。同様に若く、見た目がいいカリスマ的政治家、サウスベンド市長のピート・ブーティジェッジがいたからだ。オロークはブーティジェッジの政策提言、現実的でよどみのない語り口、本物の重厚さとの対比を余儀なくされた。
自身の選挙運動の失速とブーティジェッジの急浮上を目の当たりにしたオロークは、この対比のせいで追い込まれていることに気付いていた。撤退前の候補者討論会ではブーティジェッジに攻撃を仕掛け、世論調査を気にする意気地なしと示唆した。
ブーティジェッジは強烈な反撃に出て、(格好ばかりで中身のない)オロークに勇気を教えてもらう必要はないと言った。ブーティジェッジのアフガニスタン従軍経験を思い起こさせる発言だ。このとき、オロークの表情は敗北感に打ちひしがれていた。この男にスターの輝きを奪われたと悟った瞬間だった。
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