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マララと真逆のグレタ・トゥーンベリが、人々の心をつかめる理由
国連気候行動サミットでの感情的な演説は議論を呼んだ(9月23日) CARLO ALLEGRI-REUTERS
<国連でのスピーチで「時の人」になった16歳の環境活動家には「大人たちの操り人形」という批判もあるが、そのアピール力は危険なまでに魅力的だ>
1年ちょっと前、グレタ・トゥーンベリが抗議を始めた当初の写真を見た。15歳の少女は手作りのプラカードと共に、たった1人で地面に座っていた。その背後には、隣の建物のコンクリートの壁。若き環境保護活動家の孤独な姿は、絶望的な闘いに圧倒され、打ちひしがれているように見えた──。
だが、現在の世界は光の速度で変化する。アメリカ政治では、一夜にして「時の人」になった例が複数ある。現大統領もその1人だ。グレタのロケット並みの急上昇は、ことによるとそれ以上かもしれない。
私はこの影響で仕事の約束をキャンセルした。グレタが火を付けた気候変動に抗議する運動に街中が占拠されたためだ。自宅のすぐそばでは彼女がアムネスティ・インターナショナルから人権に関する最高の賞を贈られた。マララ・ユサフザイに続き、10代でノーベル平和賞を受賞する日も近いかもしれない。
グレタには特別な魅力がある。ある種の自閉症であるアスペルガー症候群の少女が、どうやって都市機能をマヒさせるほどの抗議運動をリードできるのか。
マララが私たちの心を動かしたのは、理不尽な悲劇に見舞われながらも失わない優雅さゆえだった。彼女は学校へ行く途中に頭部に銃弾を受けたが、決してひるまず、全ての女子生徒が安心して教育を受けられるようにするという目標を追求し続けた。マララの抑えた口調と控えめな提案は、私たちの心に圧倒的な共感を呼び起こした。
グレタは逆だ。真っ向から言葉を投げ付け、私たちを意図的に侮辱する。彼女は私たちに罪悪感と自責の念、そして何よりも恥の意識を感じさせたいのだ。
国連気候行動サミットに集まった要人たちの前で、グレタは感情的かつ情熱たっぷりに毒を吐いた。「あなたたちは私の夢、私の子供時代を空虚な言葉で盗んだ。よくもそんなことを」
トランプとの「共通点」
誰もがグレタを愛しているわけではない。私のSNSのニュースフィードは大学院教育を受けたエリート専門家の書き込みであふれているが、その内容は彼女に対する嘲笑の嵐だ。夢と子供時代を奪われたという国連演説の一節を取り上げて、若いシリア難民や飢えた子供と、移動中の列車でごちそうを食べるグレタの写真を対比させた画像もあった。
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