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中間選挙で見えた、強気を装うトランプの脆弱な足元
その点で見逃せないのは、今回の中間選挙で民主党が州レベルの選挙で大きく躍進したことだ。注目されていたフロリダ州とジョージア州の知事選は期待を裏切られる結果になったが、コロラド、イリノイ、メーン、ニューメキシコ、ネバダ、ニューヨークでは、州知事、州上院、州下院の3つを全て掌握することに成功した。
これにより、民主党は国政レベルでもトランプの政策に対抗しやすくなる。さらに、これらの州では20年の下院選に向けて有利な状況をつくり出せるし、大統領選と議会選で支持を掘り起こすための強力な基盤も手にできた。
疑惑調査が本格化する?
民主党にとってフロリダ州知事選を落としたのは想定外の痛手だったが、同州からは朗報もある。同時に実施された州民投票の結果、州内で刑期を終えた元受刑囚の選挙権を(一定の条件の下で)回復させる州憲法改正が決まった。これで選挙権を取り戻す人は140万人以上。大半が民主党支持者だと思われる。これが将来の選挙で効いてくるかもしれない。
ジョージア州知事選も、結局は共和党のブライアン・ケンプの当選が決まる可能性が高そうだ。そのケンプは州内の選挙事務を取り仕切る州務長官として、有権者登録のハードルを厳しくし、実質的にマイノリティー(少数派)の投票を制約してきた人物である。
現職州務長官のケンプが職にとどまったままで選挙に臨んだことから、知事選の公正さを疑う声も上がっている。この問題で注目が集まれば、州務長官としてのこれまでの行動も批判を浴びるかもしれない。批判が勢いを増せば、有権者登録のハードルを下げる制度改正が実現しないとも限らない。もしそうなれば、マイノリティーの支持率が高い民主党には好材料だ。
中間選挙の結果の中で最も大きな意味を持つのは、民主党が下院を制したことにより、各委員会の委員長ポストが民主党に回ることだ。
下院が調査権限を全面的に活用するようになれば、トランプの運命が大きく暗転する可能性もある。これまでの2年間、トランプは共和党主導の下院の協力により、司法妨害疑惑や税務・ビジネス関連の問題など、さまざまな法律的問題から守られてきた。しかし、今後は全て丸裸にされて、事によると弾劾裁判にかけられる可能性も出てくる。
トランプが中間選挙で上げた成績に関して、私はほかのアメリカ政治専門家たちが与えたのより高い点数を付けていいと思っている。しかし、今回の選挙結果は、2年後の大統領選でのトランプの再選と今後の生き残りに暗い影を落とす。
トランプ自身もこのことに気付いているように見える。選挙後の記者会見では、メディアに対して冷静さを失う一幕があった。これは、相変わらず強気な態度とは裏腹に、下院や州政治の新しい現実を突き付けられて内心は狼狽していることの表れなのかもしれない。
<本誌2018年11月20日号掲載>
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