- HOME
- コラム
- Surviving The Trump Era
- トランプ政権、シリア「開戦」の現実味
トランプ政権、シリア「開戦」の現実味
シリアについても同じだ。13年にオバマがシリア空爆に議会の承認を得ようとした際、支持すると回答したのは国民の36%にすぎなかった。ところがテロ組織ISIS(自称イスラム国)の残虐行為とシリアのアサド政権による化学兵器使用を受けて風向きが変わった。15年には57%がISISとの地上戦に特殊部隊を投入することを支持、72%が空爆を支持した。昨年4月のトランプ政権初の空爆に対する支持は66%に上った。
これらの数字はイラク開戦前と不気味に似通っており、歴史がトランプを戦争に駆り立てているかのようだ。トランプは議会の上下両院を掌握し、議会も次第に彼の言いなりになっている。イラク開戦前のブッシュがフセイン政権を非難したときと同様、トランプもアサド政権の残酷さと無分別を糾弾している。
しかもトランプが新たに大統領補佐官(国家安全保障担当)に迎えたジョン・ボルトンはイラク開戦前に情報操作を行ったとされる人物。大規模なシリア空爆を強く主張してきたことでも知られている。
国内では不人気でスキャンダルまみれのトランプ政権が、注意をそらすために戦争をする「本末転倒」を懸念する声もある。世論が介入支持に大きく動くなか、アフガニスタンとイラクでの経験をアメリカ人は果たしてどこまで鮮明に覚えているだろうか。
<本誌2018年5月1&8日号掲載>
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
米大統領選の現実を見よ――その傲慢さゆえ、民主党は敗北した 2024.11.21
バカげた閣僚人事にも「トランプの賢さ」が見える...今後を占う「6つのポイント」 2024.11.21
歴史的大接戦の米大統領選を左右する7つのファクター 2024.10.31
北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は? 2024.10.30
国外ではほぼ無名...石破新首相はアメリカからこう見える 2024.10.18
トランプに異変? 不屈の男がここにきて「愛」を語り始めた訳 2024.10.08
大統領候補よ、花粉症を語れ! 2024.09.12