災害時「タワマンは陸の孤島」とされても、とどまらざるを得ない日が来る
阪神淡路大震災のとき、分譲の超高層マンションは大きな損壊が生じることがなかった。
それに対して、建物倒壊や火災の影響を大きく受けたのが、木造一戸建てや木造のアパート。その住人で避難所が満杯になったため、建物が無事なマンション住人は自宅にとどまることが求められた。
これは、多くの災害で生じる現象だ。人口の多い首都圏では、「避難所に入れない」という問題が深刻になるはずで、マンション住民は、自宅にとどまることが当然になるだろう。
そもそも1棟で500世帯を超える人が住むこともある超高層マンションで、住人が一斉に避難所に押し寄せたら、それだけでパニックが起きてしまう。マンション内にとどまってもらったほうがよいわけだ。
マンション住人は、避難所に入るのではなく、自宅内にとどまる。その事態が想定されるため、超高層マンションでは停電になっても暮らし続けることができるよう非常用電源を充実させている。
加えて、水・食料を含めた備蓄品を備え、災害時でも使用できるマンホールトイレや泥水からでも飲料水をつくる生成装置なども自前で用意している。
さらに、阪神淡路大震災と東日本大震災の際、不動産会社系列の管理会社は、自発的に輸送部隊を結成し、水や食料、医薬品などを被災地のマンションに届けた。
災害時の支援物資が避難所優先で配られ、マンションにはなかなか届かないことがわかっていたからだ。
超高層マンションの「強さ」
戸数規模が大きい超高層マンションでは災害に対応する準備が十分に行われている。これは、超高層に限らず、中層・高層の大規模マンションでも同様だ。さらに、超高層マンションでは免震構造や制震構造を採用することで、地震の被害を軽減させる工夫も多い。
そのように地震に対する備えが多いマンションでは、1階ホールなどが緊急時の避難所として指定されることがある。
超高層マンションの1階部分には住戸がなく、ロビーなど共用施設として利用される。そのロビーなどが、災害時に避難所として開放されることがある。参考例として、筆者撮影
万一のときは、他の住人や帰宅困難者を迎え入れることができるように指定され、行政が準備した食料品などを備蓄しているわけだ。
超高層マンションは、そのような「強さ」も備えている。
マンション内の避難所は、災害時に頼りになる。が、どのマンションに避難所があるかは、残念ながらわかりにくい。
帰宅難民などが立ち寄りやすいよう、災害時の適切な誘導策などが求められるところである。
※当記事はYahoo!ニュース個人からの転載です。
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