コラム

あのモニカ・ルインスキーがネットいじめ防止を訴える/Abate(~を弱める)

2016年01月28日(木)16時05分

【今週のTED Talk動画】The price of shame - Monica Lewinsky
http://www.ted.com/talks/monica_lewinsky_the_price_of_shame

登壇者:モニカ・ルインスキー

 ほとんどの人は、モニカ・ルインスキーという名前を聞くと、昔のゴシップニュースに登場した国際的な有名人として認識するだろう。1998年に、彼女がホワイトハウスでインターンをしていた際のビル・クリントン大統領との不倫が明らかになり、大きなスキャンダルになった。その後、彼女は公の場から姿を消している。事件から17年を経た今、ルインスキー氏はこのTED Talkにより、再び社会活動に参加することになった。

 きっかけは、1998年以降、自分が経験したように公の場であるインターネット上で辱めを受け、苦労している人が多くいるのを知るようになったこと。ルインスキー氏は自分こそ、ネットいじめに関する意識を高め、皆がもっと思いやりを持つよう働きかけられる立場にいると感じたのだ。その決意を知らしめるため、TED Talkで再デビューを図ったともいえる。彼女のメッセージは、インターネットで発言をする時は、人に恥をかかせようとするのではなく、もっと思いやりを持とうというもの。モニカ・ルインスキーの名前を聞くと「あの腰の軽い女」と思う人も多いかもしれないが、彼女のメッセージもプレゼンテーションもとても説得力がある。軽視せず、耳を傾けてみる価値はありそうだ。

キーフレーズ解説

Abate
~を弱める

(動画19:33より)

 ルインスキー氏はこのTED Talk で、abateを他動詞として使っています。その意味は、何かの勢いをなくすこと、あるいは何かの影響力を弱めること。ルインスキー氏によると、思いやりを持った発言をすれば、インターネット上にあふれるマイナス思考をabateできるそうです。

 典型的な使用例を紹介します:

●The wall is designed to abate noise from the highway.
(その壁は高速道路の騒音を抑えるように設計されています)

●His apology did not abate her anger.
(彼の謝罪をもってしても彼女の怒りは収まりませんでした)

 Abateは自動詞として使われることもあります。その場合は「(量・程度・圧力など)が減少することや弱まること」を意味します。その例を紹介します:

●Once the storm abates they will re-open the airport.
(嵐が収まれば空港は再開されます)

●After she took the aspirin her headache abated.
(アスピリンを飲んだ後、頭痛が治まりました)

 名詞形はabatement。意味は「軽減」や「減少」です。その例を紹介します:

●They decided to stop the treatment because it failed to lead to abatement of the symptoms.
(症状が緩和されなかったので、治療を中止することにしました)

●The government requires us to put in place a fire prevention and abatement strategy.
(火事の予防と減少のための対策を講じることが政府によって義務づけられています)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:全米で広がる反マスク行動 「#テスラたた

ワールド

トルコ中銀が2.5%利下げ、インフレ鈍化で 先行き

ビジネス

トランプ氏、ビットコイン戦略備蓄へ大統領令に署名

ビジネス

米ウォルマート、中国サプライヤーに値下げ要求 米関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story