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アメリカの経験から学ぶ、ワクチン接種促進に必要な配慮
アメリカではワクチン接種当初は混乱も生じていたが Cheney Orr-REUTERS
<開始以来、混乱が続いていたアメリカのワクチン接種は、3月に入って状況に改善の兆しが見られている>
アメリカでは、新型コロナウイルスの予防ワクチンの接種が開始された約3カ月が経ちますが、この間、供給不足や降雪などによる流通の混乱が続いていました。ですが、3月に入って気候が暖かくなると同時に、事態にやや改善の兆しが出てきました。第3のワクチン、つまりジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の1回接種タイプのワクチンが承認されたことも追い風になる模様です。
J&J製ワクチンに関しては、ライバル企業のメルク製薬が共同生産体制を組むという報道もあり安定供給への期待が高まっています。バイデン大統領が宣言した「5月下旬までに成人全員の接種完了」が実現するかどうかはまだ分かりませんが、ようやく大量接種の体制へと進みつつあるのは事実です。
そんな中で、問題になっているのがワクチン接種の際の労働条件です。まず、アメリカの場合は職場での集団接種は今のところは、ほとんどありません。各州によって詳細は違いますが、基本的に申し込みは個人ベースです。年齢や職業、既往症などを登録しておいて、「あなたは予約が可能になりました」というメールを待つのです。
多くの場合は州内の大規模接種会場に案内されることが多く、しかも先着順ですから迷っていると枠はどんどん埋まっていきます。予約は数週間後の接種日を指定するものが多く、平日の昼間ということになりがちです。接種会場までは片道数時間という場合もあります。
接種日は「病欠」?
そうした場合に「接種の日の欠勤」をどう扱うかが問題です。各州によって労働法制が違うアメリカですが、多くの州では接種に当たっては「有給の病気休暇」を使用することが奨励されています。
問題は、副反応が強めに出る人の場合で、特に2回接種型の2回目や、かつてコロナに罹患して抗体のある人など、接種後に1日から2日は安静にする必要が出てくる場合があります。そうなると、やはり病気休暇を充当することになるわけですが、これには多くの人が抵抗感を持っています。
つまり、ワクチン接種というのは、公共の利害、つまり社会としての集団免疫の獲得や、職場における安全衛生の確保に貢献することなのに、個人の権利である病気休暇を充当するのは納得できないという感覚です。そこで、労働条件の良い職場では、病気休暇に加えてプラスアルファとして、有給の「コロナ特別休暇」を設けて接種を促進しているケースもあります。
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