コラム

アメリカの経験から学ぶ、ワクチン接種促進に必要な配慮

2021年03月04日(木)15時30分

日本の場合はこれから大量接種に進む段階で、職場での対応をどうするか、各企業としても、また社会としても考え方を整理しておいた方が良いと思います。接種は完全に個人都合であり、接種後の休養も自己責任などという考え方が広がると、接種が金曜日に集中してただでさえ難しい接種体制が崩壊する危険があるからです。

もう一つ、考えておかねばならないのは、解凍しすぎた場合の緊急接種という問題です。東京都千代田区で発生した冷凍庫の故障では、すでに温度が高く使用できない状態で発見されたことで、1000名分のワクチンが廃棄となっていますが、問題は、何らかの理由で数百から数千のワクチンが解凍されてしまって余るという局面です。

2月末にファイザー社が同社製造のワクチンに関して、極低温保存の基準を緩和したので、こうしたケースは減るかと思いますが、アメリカではこれまで「解凍してしまったワクチンが余る」という事件はかなり頻発しています。その場合は、年齢制限などを解除して、ワクチンがムダにならないように臨機応変に希望者を募集することが各州で行われています。

こうした「ワクチン余り」という事態は、様々な理由で起き得ることですので、その場合は公正な方法で幅広く接種希望者を募る制度を、日本でも用意しておく必要があると思います。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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