コラム

スタートした政権移行作業、トランプはどうして認めたのか?

2020年11月26日(木)15時00分

その一方で、相変わらずトランプ大統領は、連邦死刑囚へ死刑を執行し、イラク、アフガン、イラン情勢に関しては「新政権との合意なき行動」を模索するなど、「政権移行期にはタブーとされた」行動を続けています。また、これは予想されたことですが、ロシア疑惑で有罪になった元側近のマイケル・フリンを恩赦したり、開票に関する訴訟戦術については依然として強気のコメントを出すなど「敗北を認めない」姿勢は変えていません。

バイデン側は、このGSAによる措置に「ゴーサイン」が出たのと前後して、閣僚人事を順次発表し、新型コロナウイルス感染拡大については国民へ向けたメッセージを出すなど、ようやく「次期大統領」として本格始動をしています。ですが、そのバイデンによれば、現地の24日(火)の時点では、選挙後にトランプ大統領との直接のコンタクトはできていないそうです(首席補佐官同士は協議を開始しているらしい)。

とりあえず、政権移行プロセスが動き出したことで、感謝祭休暇の前に「半歩前進」ということになります。ですが、これはこれで「まるで2つの政府が同時に存在する」という前代未聞の状態で、こうした状態が当面、続く見通してです。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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