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「健康問題」と「罵倒合戦」で脱線気味の大統領選
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Bryan Snyder-REUTERS
<ヒラリーの「健康不安説」をやたらに騒ぎ立てたメディアだが、一方のヒラリーもトランプを罵倒するばかりで政策論争に踏み込まない。このままでは「積極的支持層」まで離れてしまう可能性もある>(写真は今週、体調の回復をアピールするヒラリー)
9/11同時多発テロから15年の追悼式典が行われた日は、大変な猛暑となりました。その前週の途中から季節外れの暑さとなり、私の住むニュージャージーでは朝から異常な高温でしたから、お隣のニューヨークでも同様だったと思われます。
この追悼式典には多くの政治家が参列していました。ヒラリーとトランプも列席していました。式典は、公園の木陰で行われます。木陰といっても完全に露天で、ゲストも立ちっぱなしというのが通常で、今回もそうでした。
ですから、おそらく気温32度ぐらいの猛暑で高湿度の中、黒いスーツを着ていたヒラリーは大変だったと思います。結果的に、気分が悪いということで予定を切り上げて1時間半で退席しました。
そのままヒラリーは、マンハッタン島内にある娘チェルシーのアパートで休息し、気分が良くなったということでアパートの前に姿を表して、「もう大丈夫」だと言って手を振り、支持者の子どもと一緒に写真に写ったりしていました。
【参考記事】トランプ、「やぶ医者」の番組で自らの健康を語る
ですが、同時にメディアなどでは「大統領候補の健康に関する情報開示」が足りないという批判が出たのと、グラウンドゼロを引き上げる時、SPに両側から支えられて車に乗り込む際に「よろけた」映像が出回ったために、最終的には主治医の診断が公表されることになりました。
具体的には "walking pneumonia" つまり軽症のウイルス性肺炎ということで、数日前から咳も出ていたというのです。そう言えば、その数日前のスピーチでは、かなり咳をしていました。主治医の強い勧めで12日からの2泊3日のカリフォルニア遊説はキャンセルし、数日間はニューヨーク郊外の自宅で静養することになりました。
まったくもって、それ以上でも以下でもありません。考えてみれば、この猛暑が来る前、つまりヒラリーが咳をし始めた直前には、反対に朝晩は摂氏10度ぐらいまで冷え込んでいましたから、大統領候補でもカゼはひくでしょう。仮にカゼだとして、抗生剤がヒットしそうで処方するのであれば、この「軽い肺炎」という診断もまったく不自然ではありません。
ところがメディアはいきなり「ヒラリー健康不安説」を騒ぎ立て、やれルーズベルトがポリオを隠していたとか、JFKも腰と腎臓の持病を隠していたとか、まるでヒラリーが重大な「健康問題を隠している」かのような騒ぎぶりでした。
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