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トランプの「アジア外交」絡みの暴言は無視できない
対アジア外交に関するトランプの暴言からは米保守派の心情が読み取れる Dominick Reuter-REUTERS
一連の女性蔑視発言に加えて「不法移民は全員強制退去」、「イラクへ派兵して油田を占領」、「地上軍派遣でISIS殲滅」、「借金大国アメリカには借金王の俺が必要」......とにかく共和党の大統領候補に名乗りを上げているドナルド・トランプの暴言は止まるところを知りません。
その「主張」というのは全く実現不可能なものですが、アメリカの保守派が漠然と感じている「願望」とか「ホンネ」を言葉にしているという点では見事です。
というのは、ライバルの候補たちにしてみれば、トランプの「暴言」を「不可能だ」とか「非現実的だ」と批判すれば、「自分はそんなことはできない」という一種の「無能」を訴えることになるからです。見事というのは、いくら内容が「空っぽ」でも、そのような「政治的なワナ」としての「仕掛け」にはなっているということです。
その「トランプ暴言」ですが、ここへ来てアジア外交まで「ネタ」にするようになってきました。
まず8月11日のミシガン州での演説では「日本にキャロライン・ケネディ大使を送ったのは、カネとオバマ大統領のコネがあるだけという理由のバカげた人事だ」とケネディ大使を「こき下ろし」ています。ちなみに、この日は中国に関しても「為替操作を行ってアメリカの雇用を奪っている」と批判していました。
その後の8月19日に放映されたCNNのニュースキャスター、クリス・クオモによる単独インタビューでは、あらためて日本と中国に対して通商政策で強硬に行くべきだとして、「キャサリン・ケネディじゃダメ。(モノ言う投資家として有名な)カール・アイカーンを駐日大使に送り込む」という発言をしています。
アイカーン氏は確かにトランプを支持しているようですが、本人としては「トランプが政権を取ったら財務長官をやりたい」と言っていましたから、話が噛み合わない感じもあります。しかし、とにかく日本と中国には通商問題でもっと強硬に臨むべきだと言うのです。
これとは前後しますが、7月22日にサウスカロライナ州で行われた演説では、まずサウジアラビアに対して「アメリカがタダで守ってやっているのに、毎日ビリオン(何千億円)も儲けている」と批判したついでに、韓国も「タダで守る必要はない」として韓国との関係は「クレイジーだ」と絶叫しています。
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