プレスリリース

世界初、日立とNTT Comがストレージ仮想化技術とIOWN APNを用いて、600kmを超える長距離間のリアルタイムデータ同期の共同実証に成功

2024年12月05日(木)14時00分
株式会社日立製作所(以下、日立)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、このたび、超高速かつ超低消費電力を実現するIOWN構想※1の主要技術であるオールフォトニクス・ネットワーク(以下、APN)を用いた分散型データセンターの実現に向けた技術検証の一つとして、日立ヴァンタラ株式会社(以下、日立ヴァンタラ)のHitachi Virtual Storage Platform One Block※2(以下、VSP One Block)とIOWN APN※3を用いた共同実証を実施しました。
VSP One Blockは、ストレージ仮想化技術を用いて各拠点に設置された複数のストレージをあたかも1つのストレージのように管理・運用できるため、災害発生時の事業継続に強みを発揮するストレージです。また、IOWN APNは、NTTグループがこれまで培ってきた経験と技術力で通信サービスを進化させた低消費電力・大容量高品質・低遅延を特徴とするネットワークです。
今回、この2つの強みを組み合わせ、長距離間のデータ同期における往復応答時間を日立が推奨するネットワークの応答時間以内に収めることに成功し、また災害発生時にもシームレスにシステム復旧が可能であることを確認しました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/419358/img_419358_1.png


1.背景
激甚災害の増加やそれに伴うレジリエンス強化のニーズを受け、金融やインフラ事業者などミッションクリティカルな事業を支える企業において、ディザスタリカバリ(DR)構成のシステム導入が進んでいます。しかし、システム構築や維持にかかるコスト増加や、災害時における業務継続のためのオペレーション、復旧までの作業時間などさまざまな課題があり、上記のような企業にとって大きな負担になっています。
さらに現在、生成AIの普及によりデータ処理量が爆発的に増加し、データセンターの需要が拡大する一方で、電力使用量の増大が地球環境への大きな負荷になっています。そこで、全国各地のグリーンエネルギーを有効活用できる分散型データセンターの実現に期待が寄せられています。今回の技術検証もその一環であり、離れたデータセンター間をリアルタイムに連携させることで、企業がひとつのデータセンターのように利用することが可能になります。長距離間のデータセンターをつなぐことができれば、土地や再生可能エネルギーの確保がしやすい地域にデータセンターを分散配置し、都市部でのデータセンターの一極集中を回避することができるようになります。
多様性を受容できる豊かな社会を創るIOWNの構想を実現する上でも、光や生成AIなど革新的な技術の活用は必要不可欠であり、そうした活動を持続可能な形で支えるデータセンターの実現は非常に重要なテーマとなっています。

2.実証実験について
以下の通り2つの検証・評価を行いました。
(1)長距離間データ同期の往復応答時間を検証
VSP One BlockをIOWN APNで接続し、仮想的に600km(東京・大阪間)離れた環境を作り、日立のストレージ仮想化技術GAD※4におけるデータ同期に要する時間を測定しました。回線の応答遅延を改善した結果、IOWN APNの持つ低遅延、低ジッタ※5により、日立が推奨するネットワークの往復応答時間(20msec以内)を大きく下回る※6結果となり、600kmの長距離でもデータ常時同期での環境構築ができるという実用性を確認しました。なお、600km間でのデータの常時同期を実現したのは世界初※7の実証事例となります。

(2)災害発生時のシステム復旧時間を検証
同一データセンター内で利用されるクラスタ技術を用いてデータセンター間で冗長化を行い、データセンターのメインサイトで疑似障害を発生させ、サブサイトにおいて業務継続が可能かを検証しました。その結果、メインサイトがシステムダウンした後、データ損失なく、自動的にサブサイトでのシステム稼働が確認でき、災害時にもシームレスな業務の継続ができることを確認しました。
検証結果を適用することにより、メインサイトからサブサイトへの切り替えや災害発生時のデータ損失に対するリカバリー作業などシステム復旧作業にかかっていたSEの稼働が不要になることで、運用者の負担を軽減することができます。さらに、従来の非同期に複数のデータを保持しバックアップを取得していた場合と比較し、ストレージ容量が削減できることで、ITインフラの維持コストや消費電力の低減が期待できます。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/419358/img_419358_2.png


3.各社の役割
3社共創し、以下役割にて共同実験を推進しました。
日立/日立ヴァンタラ:IOWN APN検証設備へのVSP One Blockの仮想ストレージ接続・機能評価
NTT Com:IOWN APN検証設備を用いたAPNの機能・性能評価

4.今後の展開
今後、日立ヴァンタラのストレージとIOWN APNの組み合わせにより、ミッションクリティカルな業務を担う金融機関、社会インフラ事業者※8、クラウド事業者などに向け、東京・大阪間のような長距離間でのデータの常時同期を実現する、次世代ITインフラシステムの提供をめざしていきます。
また、日立とNTT Comは、「分散型データセンター」の実現に寄与するソリューション提供を推進し、環境にやさしくレジリエントな社会の実現に向けて、両社にて活動を推進していきます。


※1:IOWN構想:Innovative Optical Wireless Networkの略です。NTTが2030年ごろの実用化に向けて推進する次世代コミュニケーション基盤です。革新的な光と無線の技術により、これまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報をもとに全体の最適化を図り、多様性を需要できる豊かな社会をつくるために立ち上げた構想です。
「IOWN(R)」は、日本電信電話株式会社の商標又は登録商標です。
※2:Hitachi Virtual Storage Platform One Block:日立ヴァンタラが提供するデータストレージです。革新的なデータ圧縮・保護技術で、増大するデータの管理の効率化とシステムの安定稼働を実現します。製品ライフサイクル全体で環境負荷も低減します。
※3:IOWN APN:IOWN All Photonics Networkの略です。共同実証はNTTのAPN検証設備を使用しました。
※4:GAD(global-active device): 2台のストレージ間でデータを常時同期し、データの可用性を向上する機能です。
※5:ジッタ:通信におけるネットワーク遅延時間の変動・揺らぎを示す用語です。遅延時間の変動が小さいことを低ジッタと呼びます。
※6:書込み時:7.5msec、読込み時:0.1msec以下を確認しました。
※7:2024年11月現在、日立製作所とNTT Comの調べに依ります。
※8:通信、電力、交通機関等を示します。

【関連リンク】
日立ストレージソリューション:日立
https://www.hitachi.co.jp/products/it/storage-solutions/index.html
IOWN | NTTグループの取組み
https://group.ntt/jp/group/iown/


■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」という3セクターの事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社、全世界で約27万人の従業員を擁しています。
詳しくは、日立のウェブサイト( https://www.hitachi.co.jp/ )をご覧ください。

■日立ヴァンタラについて
日立ヴァンタラは、米国のHitachi Vantaraとの一体運営により、世界をリードするイノベーターに対し信
頼性の高いデータ基盤を提供しています。データストレージ、インフラストラクチャ、クラウド管理、そしてデジタ
ルの専門知識を通じて、お客さまが持続的なビジネス成長の基盤を構築できるようサポートし、データ活用によるイノベーションや新たな変革を支援します。
詳しくは、日立ヴァンタラのウェブサイト( https://www.hitachivantara.com/ )をご覧ください。

■NTTコミュニケーションズについて
NTT Comは1999年に設立され、通信事業者ならではの高品質なインフラと技術を活かし、ネットワーク、クラウド、データセンター、アプリケーション、セキュリティ、AIなどの多岐にわたるICTサービスを展開しています。2022年にドコモグループにおける法人事業の中核を担う企業となり、「ドコモビジネス」ブランドのもと5G・IoT などを活用した社会・産業のグローバルレベルでの構造変革、新たなワークスタイルの創出、地域社会のDX支援などの価値を提供しています。


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プレスリリース提供元:@Press
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