Picture Power

【写真特集】写真の力で混迷を増す世界を捉えて

World Press Photo 2024

Photographs by World Press Photo 2024 Winners

2024年04月27日(土)13時19分

「単写真(東南アジア・オセアニア)」部門 『沈むことなく闘う』  Eddie Jim 南太平洋の島国フィジーのキオア島の長老が記憶をたどり、少年時代に海岸線があった地点に孫と共に立つ。世代を超える海面上昇の影響を表現した。同島には1940年代に隣国ツバルから移住した人々が多いが、海面上昇のせいでさらに住民が故郷を離れる事態も懸念される

「単写真(東南アジア・オセアニア)」部門 『沈むことなく闘う』  Eddie Jim 南太平洋の島国フィジーのキオア島の長老が記憶をたどり、少年時代に海岸線があった地点に孫と共に立つ。世代を超える海面上昇の影響を表現した。同島には1940年代に隣国ツバルから移住した人々が多いが、海面上昇のせいでさらに住民が故郷を離れる事態も懸念される© Eddie Jim, The Age/Sydney Morning Herald

「オープン・フォーマット(アジア)」部門 『心の糸』 松村和彦 本誌2022年2月1日号でも紹介した京都新聞写真記者・松村和彦が、認知症の症状や患者の心情、家族や介護者との関係性を丁寧に写し取った作品。認知症を理解して当事者に思いを寄せる周囲の環境が「薬」になるという視点や、審美的スタイルが高い評価を得た

「オープン・フォーマット(アジア)」部門 『心の糸』 »松村和彦 本誌2022年2月1日号でも紹介した京都新聞写真記者・松村和彦が、認知症の症状や患者の心情、家族や介護者との関係性を丁寧に写し取った作品。認知症を理解して当事者に思いを寄せる周囲の環境が「薬」になるという視点や、審美的スタイルが高い評価を得た © Kazuhiko Matsumura, for The Kyoto Shimbun

「長期取材プロジェクト(欧州)」部門『ノー・マンズ・ランド』 Daniel Chatard ドイツ西部ハンバッハの森にある環境活動家の拠点施設を撤去をする警察官。ドイツは再生エネルギー移行のリーダー的存在でありながら石炭への依存が大きい。炭鉱建設のための森林伐採、土地買収などの阻止を目指す環境活動家と警察を長期取材した作品

「長期取材プロジェクト(欧州)」部門『ノー・マンズ・ランド』 Daniel Chatard ドイツ西部ハンバッハの森にある環境活動家の拠点施設を撤去をする警察官。ドイツは再生エネルギー移行のリーダー的存在でありながら石炭への依存が大きい。炭鉱建設のための森林伐採、土地買収などの阻止を目指す環境活動家と警察を長期取材した作品 © Daniel Chatard

「ストーリー(欧州)」部門 『カホフカ・ダム:紛争地域の洪水』  Johanna Maria Fritz 昨年6月6日、ウクライナ南東部のロシア支配地域にあるカホフカ・ダムが爆発により破壊された。ドニプロ川下流のヘルソンでは大規模な洪水が発生し、数百人が死亡したとされる。インフラ環境の兵器化が人間に与える影響を可視化したストーリー

「ストーリー(欧州)」部門 『カホフカ・ダム:紛争地域の洪水』  Johanna Maria Fritz 昨年6月6日、ウクライナ南東部のロシア支配地域にあるカホフカ・ダムが爆発により破壊された。ドニプロ川下流のヘルソンでは大規模な洪水が発生し、数百人が死亡したとされる。インフラ環境の兵器化が人間に与える影響を可視化したストーリー © Johanna Maria Fritz, Ostkreuz, for Die Zeit

「ストーリー(アジア)」部門 『危機に瀕するアフガニスタン』  Ebrahim Noroozi 昨年11月17日、パキスタンとの国境近くにあるキャンプで横たわる難民。アフガニスタンでは2021年のタリバンによる制圧以来、外国援助がなくなり経済が崩壊。干ばつと2つの大地震が危機に追い打ちをかけた。一連の人物描写で荒廃する国を記録した中の1枚

「ストーリー(アジア)」部門 『危機に瀕するアフガニスタン』  Ebrahim Noroozi 昨年11月17日、パキスタンとの国境近くにあるキャンプで横たわる難民。アフガニスタンでは2021年のタリバンによる制圧以来、外国援助がなくなり経済が崩壊。干ばつと2つの大地震が危機に追い打ちをかけた。一連の人物描写で荒廃する国を記録した中の1枚 © Ebrahim Noroozi, Associated Press

「世界報道写真長期取材プロジェクト」大賞 『2つの壁』  Alejandro Cegarra 2019年、メキシコ政府は寛大だった移民政策を厳格化。南方から入国を目指す移民に対する暴力や当局の汚職の原因となり、国境付近の不安定化につながった。ベネズエラからメキシコへ移住した撮影者自らの経験を生かし、移民の現状を長期間をかけて記録した作品

「世界報道写真長期取材プロジェクト」大賞 『2つの壁』  Alejandro Cegarra 2019年、メキシコ政府は寛大だった移民政策を厳格化。南方から入国を目指す移民に対する暴力や当局の汚職の原因となり、国境付近の不安定化につながった。ベネズエラからメキシコへ移住した撮影者自らの経験を生かし、移民の現状を長期間をかけて記録した作品 © Alejandro Cegarra, The New York Times/Bloomberg

「オープン・フォーマット(アフリカ)」部門 『漂流』  Felipe Dana and Renata Brito 2021年5月、アフリカ北西部モーリタニアの漁船がカリブ海のトバゴ島に漂着。船内で遺体が複数発見された。彼らは何者で、なぜ大西洋の反対側にいたのか。欧州を目指したはずの彼らの故郷やルートを調査し、危険を冒す移民の知られざる物語を記録したウェブ作品

「オープン・フォーマット(アフリカ)」部門 『漂流』  Felipe Dana and Renata Brito 2021年5月、アフリカ北西部モーリタニアの漁船がカリブ海のトバゴ島に漂着。船内で遺体が複数発見された。彼らは何者で、なぜ大西洋の反対側にいたのか。欧州を目指したはずの彼らの故郷やルートを調査し、危険を冒す移民の知られざる物語を記録したウェブ作品 © Felipe Dana and Renata Brito, Associated Press

「世界報道写真オープンフォーマット」大賞 『戦争は私的なもの』  Julia Kochetova ウクライナ東部ハルキウ州で「検問所」を作る子供。メディアが地図や統計で戦況を伝えるのに対し、受賞者は個人のウェブサイトを通じてフォトジャーナリズムとドキュメンタリー形式の日記を組み合わせ、個々人の日常の現実としての戦争がどのようなものかを伝える

「世界報道写真オープンフォーマット」大賞 『戦争は私的なもの』  Julia Kochetova ウクライナ東部ハルキウ州で「検問所」を作る子供。メディアが地図や統計で戦況を伝えるのに対し、受賞者は個人のウェブサイトを通じてフォトジャーナリズムとドキュメンタリー形式の日記を組み合わせ、個々人の日常の現実としての戦争がどのようなものかを伝える © Julia Kochetova

「ストーリー(アフリカ)」部門 『バリム・バベナ』  Lee-Ann Olwage 孫娘と教会へ行く準備をする認知症のダダ・ポール(91歳)。マダガスカルでは、認知症を発症すると、社会の認識不足から差別の対象になる。現地の「バリム・バベナ」(子は親を世話するべきという原則)に従い、認知症の父親を介護する娘と家族の物語

「ストーリー(アフリカ)」部門 『バリム・バベナ』  Lee-Ann Olwage 孫娘と教会へ行く準備をする認知症のダダ・ポール(91歳)。マダガスカルでは、認知症を発症すると、社会の認識不足から差別の対象になる。現地の「バリム・バベナ」(子は親を世話するべきという原則)に従い、認知症の父親を介護する娘と家族の物語 © Lee-Ann Olwage, for GEO

「単写真(南米)」部門 『アマゾンの干ばつ』  Lalo de Almeida ブラジル北部ポルトプライア先住民居住区付近のアマゾン川支流の乾いた川底を、漁師が歩く。昨年、アマゾン川流域は観測史上最悪の干ばつに見舞われた。交通を船運に頼るこの地域では水のない川を歩くしかない。干ばつの深刻さと世界的な環境危機を語る1枚

「単写真(南米)」部門 『アマゾンの干ばつ』  Lalo de Almeida ブラジル北部ポルトプライア先住民居住区付近のアマゾン川支流の乾いた川底を、漁師が歩く。昨年、アマゾン川流域は観測史上最悪の干ばつに見舞われた。交通を船運に頼るこの地域では水のない川を歩くしかない。干ばつの深刻さと世界的な環境危機を語る1枚 © Lalo de Almeida, for Folha de São Paulo

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