Picture Power

【写真特集】レバノンの海岸と自由をそれでも愛す

BY THE SEA

Photographs by BENJAMIN CREMEL

2023年08月05日(土)16時00分

レバノンの首都ベイルートのコルニッシュで礼拝を行う85歳のアブ・ホドル。街の外に出かけているときや子や孫に会いに行く日以外、ここ40年間は一日も欠かさず泳ぎに来ている

<真っ青な地中海の波打ち際には、日焼けした若者や高齢者が集い、太陽と海への愛を隠さない>

レバノンの首都ベイルートの海沿いの遊歩道コルニッシュは、人々の物語であふれている。日光浴やジョギングを楽しむ人が行き交う真っ青な地中海の波打ち際は、内戦の傷痕からかなわぬ夢まで、あらゆる出来事を目撃してきた。

雪を頂く山脈や真新しい超高層ビルを背景にした海沿いのプールに、日焼けした若者や高齢者が集う。彼らは太陽と海への愛を隠さない。日焼けオイルを塗る人もいれば、保湿クリームを使う人もいる。ある人は断食し、ある人はたばこをふかす。イスラムの礼拝を行う人の横には、キリストに祈る人の姿も。

ここでは誰も、他人の出自や信仰など気にしない。深刻な経済危機で壊れかけた国の片隅で、彼らは自由を生きる。

コルニッシュは多様性に富むレバノンの象徴だ。幻滅と希望が交錯するなか、人々は世代を超えて一緒に泳ぎ、笑い、持て余した時間を過ごす。

「嵐や紛争があろうと、ここを離れたくない」と、85歳のアブ・ホドルは言う。失業中の若者が頭上の飛行機を見つめ、母国を出る日を夢見るのを横目に、ホドルは冗談めかした口調で話した。「ここは最高だよ。楽園だね」

ppleba02.jpg

地中海を望むプールで水遊びをする子供たち。向こうに雪化粧をしたサンニ山が広がる


ppleba03.jpg

地中海に飛び込む男性


ppleba04.jpg

コルニッシュ近くで日光浴中の男性の頭上を飛行機が飛ぶ。国内よりも海外で暮らすレバノン人のほうが多く、若者は海外生活を夢見ている


ppleba05.jpg

日焼けオイルを塗りながら友人と談笑するアリ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)-ユニクロ、3月国内既存店
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story