コラム

これを読んで僕が「統一教会擁護派」か判断してください(パックン)

2022年09月06日(火)17時45分

国会が果たすべきは「ルールメーカー」としての役目のはず(衆議院で安倍元首相に黙とうを捧げる議員たち、8月5日) Issei Kato-REUTERS

<「統一教会問題はもういい」「安倍元首相の国葬ゲキ押し」などと報じられた発言の真意をお伝えします>

炎上ではないが、なんだかくすぶっているようだ。

先日、テレビ番組『ビートたけしのTVタックル』で僕がある発言をしたあと、少し珍しい現象が起きた。基本的にリベラルな僕はだいたい「左」から褒められ「右」から叩かれることが多いが、今回は逆パターンになった。

それは今度の臨時国会で旧統一教会と政治家の接点を追及するべき否かというテーマで討論しているときの僕の発言だった。ネットニュースの「パックン『統一教会問題はもういい!』」などという見出しが広まり、僕が教団と政治家との関係は気にしないと言っているように捉えられているようだ。

まあ、それなら叩かれるのもわからなくはない。でも、本当に言いたかったことが伝われば(ほめられなくても)たたかれることはないと僕は推測する。かなり「普通」のことしか言っていないからね。議論が白熱していたせいか、僕があまり討論番組に慣れていないせいか、それがうまく伝えられなかったようで本当に悔しい。ということで、ここで再チャレンジしよう。

まず、僕の発言が被害者に冷たく聞こえたことを、一番残念に思っています。傷ついた方がいらっしゃるならば心からお詫びします。しっかり反省して、今後気を付けることを約束します。

また、はっきり言っておきましょう。僕は悪徳教団が大嫌いだ。人をだましてはいけない。信仰や不安、孤独感などを利用して商売することを迷わず非難したいし、立場のある方にもそう願いたい。

「接点」問題はメディアに任せよう

僕が言いたかったのは「悪質な商法を用いる教団が許されるべきだ」、「政治家は付き合いに責任を持たなくていい」、「被害者のことを忘れよう」などでは全くない。むしろ、逆のことだ。国民を悪徳商法から守るために、クリーンで信頼できる政治を構築するために、次の被害者を出さないために、「総論的なルール作り」に議論を集中させてほしい、ということです。

政治家が非道な組織と癒着があるなら、ぜひそれをメディアで明かしていただきたいし、選挙中に他党の政治家がそれを武器に攻撃することは民主主義の健全な自浄作用だと思う。

ただ、一つしかない国会の限られた時間を政敵叩きに費やすよりも、再発防止策を検討することに充てた方がいいのではないでしょうか。(ほかにもエネルギー、安全保障、経済、教育、環境などなど、取りかからないといけない課題が山積しているし)。もっと責任追及や調査がしたいならば、それ専用の特別委員会を設置すればいいし、国会でその結果発表を行うのも手だ。だが、国会は各党の各議員が日本をよりよくするための提案を出して、みんなで考えて直面している問題の解決策を打ち出す場ではないでしょうか。

「〇〇さんはいついつどこどこで旧統一教会と接点を持った!」という話はメディアに任せよう。もちろん、議員がテレビなどでそうした批判を行ってもいい。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税巡る市場の懸念後退 猶予期間設定で発動

ビジネス

米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス

ビジネス

金、今年10度目の最高値更新 貿易戦争への懸念で安

ビジネス

アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story