コラム

他国を「くその穴」と呼ぶ大統領って......

2018年01月18日(木)16時45分

大統領は政府のトップというだけではなく、天皇や国王を持たないアメリカにとっては国の象徴でもある。当然、一般人よりはもちろんのこと、一般の政治家よりもさらにさらに、求められる人格・品格の基準が高い、特別な存在だ。もしも僕が友達のパーティーで使ってしまったら二度と呼ばれなくなるような汚い言葉を、アメリカの象徴とされる人間が使っているのだ。実に困ったもんだ。

でも、子供に質問されることへの準備をしていなかった自分も悪い。だって、これが初めての出来事ではない。これまでもニュースになった大統領の発言を発端に、こんな親子の会話が交わされた家庭もあるだろう。


「お父さん、pussyってどういう言う意味?」

女性の性器を指す、とても下品な単語だ。使わないようにね。

「は~い。ところで、有名人は勝手に女性のpussyをつかんでも大丈夫なの?」

または、


「お父さん、rapistってどういう意味?」

レイプ犯。人を強姦する、最低の犯罪者だ。

「そうなんだ......。メキシコ人は全員rapistなの?」

それに、 


「エイズって何?」

免疫が機能しなくなる病気だよ。コンドームなしでセックスしたり、注射針を共用することで感染することが多いんだ。

ハイチ人はみんなエイズなの?」

どのケースも単語自体の衝撃度はひどいものだが、大統領の主張全体とその裏にある考え方のほうがさらにひどく、説明しづらい。僕が子供にしつけようとしている言葉遣いの面だけでなく、道徳、倫理、マナー、人との接し方においても、完全に僕の期待に反する内容だ。子供に解説する際は、まず表面的な汚い表現から取り掛かる。しかし掘り下げれば下げるほど、裏の醜いものが現れるのだ。

今回もまたそんな展開になりそう。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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