2014年の侵略戦争のはじまりと、2025年の近未来、ウクライナの悲劇を描く2作
この2作品は、それぞれ独立した作品ではあるが、2部作と考えることもできる。それは、ストーリーやドキュメンタリーのようなリアリティよりももっと深いところに、死にまつわる共通するイメージが埋め込まれているからだ。
たとえば、『アトランティス』のセルヒーは、なぜボランティア団体の活動に参加するのか。その理由は説明されない。カティアの「死者たちのためよ。肉親に別れを告げさせて、彼らの生と戦争を終わらせるの」という言葉に心を動かされたと見ることもできるが、それだけではないだろう。
巧妙に埋め込まれた死のイメージ
そこで注目したいのが、セルヒーの唯一の友人イワンの自殺だ。PTSDに苦しみ、周りからバケモノ扱いされることを嘆くイワンは、「自分を消し去りたい」と語っていた。そんな彼は、製鉄所での作業中に、銑鉄が燃え盛る転炉に身を投げる。その後には、転炉の中身が廃棄される様子を、セルヒーが遠くから見つめる姿も映し出される。
セルヒーは、何も残らずに消え去るような死に強いショックを受けているように見える。そんな彼は、存在を消し去られた死者を見つけ出し、葬る作業に協力するようになる。
では、『リフレクション』の場合はどうか。実は先ほど『サウルの息子』に言及したのは、主人公の立場が重なるからだけではない。その後の変化にも繋がりがあるのだ。
サウルには息子はいないはずだが、ガス室で犠牲になった人々のなかにいた少年を自分の息子だと主張する。そして、少年の死体が焼却されないように隠し、ラビを探し出して祈りを捧げ、手厚く埋葬しようと収容所内を奔走する。
『リフレクション』で捕虜となったセルヒーにも、それに通じる心の変化が起こる。遺体を移動式火葬車に運び、処理すれば、それは消え去ってしまう。だから運転手にある取引を持ちかける。詳しくは書かないが、そこには『アトランティス』と同じ図式がある。
PTSDに苦しむ元兵士の存在が黙殺され、収容所では犯罪行為の証拠が消し去られる。ヴァシャノヴィチは、戦争の見えない部分、隠されている部分にこだわり、巧妙に埋め込まれた死のイメージを通してそれを可視化している。
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