日本の政党政治はこれからどうなるべきか(前編)
「打倒安倍」掲げて合流した希望の党の小池百合子代表と前原政治民進党代表だが(10月5日) Issei Kato-REUTERS
<大混乱の末、自民圧勝に終わった総選挙にも収穫はあった。「政策論争」「二大政党制」「政権交代」を理想と崇める日本政治の虚構を暴いたことだ>
*後編はこちら「日本の政党政治はこれからどうなるべきか(後編)──緑の党を作ろう」
衆議院選挙が終わった。
これはほとんど意味のない選挙だった、といわれているが、まったく違う。
日本の間違った政党政治の終わりが来たのだ。
日本政治について語られる三つの誤りがある。そして、それは専門家ほど間違っている。メディアの政治部記者や政治学者たちがもっとも大きな誤りを犯しているが、多くの政治家自身も致命的に間違っているのだ。
第一に、政策論争は必要ない。
第二に、二大政党制は必要ない。
第三に、そもそも政権交代も必要ない。
これらのことを改めて明確に提示したのが、今回の選挙だった。
この3つのことは、私は従来から指摘してきたが、ほとんどの人には理解されなかったし、相手にもされなかった。彼らの意見は、これらの3つが日本には必要で、これらを実現するのが政治改革の目的であり、民主主義政治のゴールいや第一歩であるというものだ。
それは現実には起こりえない。日本では絶対に起こらない。そして、さらに重要なことに、それは理想論に過ぎないのではなく、誤った理想である。日本のこれまでの政治制度や政党政治のあり方に対する批判は、誤った理想に基づき議論されてきたのだ。
小池は取り巻きも「感じ悪かった」
第一に、今回の選挙結果を見れば明らかなように、政策は選挙にはまったく関係ない。誰も消費税引き上げの是非も教育支出も、そして憲法改正さえも議論しなかった。メディアは専門家や政党の政策担当者を呼んで議論させたが、有権者は全く関心がなかった。彼らに必要だったのは、安倍首相と小池都知事、どちらが信用できるか、正確に言えば、どっちか「感じの良い人か」ということだけだった。小池都知事にとって不利だったのは、本人だけでなく、その取り巻きたちが輪をかけて「感じが悪かった」ことだった。これで決定的に希望の党は敗戦した。
立憲民主党がなぜ躍進したか。
安倍政権への批判票の受け皿となったからではない。一番「感じが良かった」からである。共産党が衰退したのは、「希望の党は自民党の補完勢力」などと関係ないことばかりを言い続けたからである。希望の党というどうでもいい政党を攻撃したからで、攻撃は少なくとも自民党に向かうべきだったし、それよりも重要なことは、他の政党を攻撃だけしているのは、とっても「感じが悪かった」のである。
立憲民主党は、希望の党に苛められたことにより同情票があつまり、いじめられてもめげずに奮闘していたのが、「感じが良かった」のである。元民進党の仲間を攻撃しない、という態度が真の勝因だった。
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