「カジノ法案」で日本への観光客は本当に増えるのか
2017年01月13日(金)15時38分
結果、カジノ従業員のリストラまで行われる事態となった。背景にあるのは中国経済の低迷、そして習近平総書記の反汚職運動だ。大口の中国人VIP客の減少が売り上げ減少につながった。両地とも2016年は前年よりは回復したが、中国の動向によって売り上げが左右される状況は続く。
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また、新規参入が続いていることでも先行きには不透明感がある。なかでも本命は中国のリゾート地、海南島だ。社会主義の中国ではギャンブルは御法度のはずだったが、2016年1月の「海南国際旅行島建設発展の推進に関する若干の意見」では賭博導入についても言及されている。現在有力視されているのは競馬の導入だが、本格的なカジノ導入を見込んで解禁されないうちからスペースを用意した高級ホテルまで登場している。
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果たして、日本のカジノは強力なライバルに打ち勝つことはできるのだろうか。
IR推進法案が成立したとはいえ、具体的な計画と法整備は今後の課題だ。商用観光客が増え大きな経済効果が得られるのか、それともギャンブル依存症患者の増加と治安の悪化をもたらすのか。いずれにせよ日本の観光に影響を与えるのは必至だろう。
採決の段階にいたってから「審議が尽くされていない」と嘆くのではなく、現段階から冷静に得失を見極めることが求められている。